荷主とは何を指す言葉か

物流の現場でよく耳にする荷主という言葉は、貨物の輸送を運送会社に依頼する側の事業者を指します。一見シンプルな用語に思えますが、省エネ法や物流効率化法といった法律の中では立場や役割に応じて細かく区分されており、その定義を正確に理解しているかどうかで企業が負う義務や実務対応も変わってきます。この記事では、荷主という言葉の基本的な意味から、法律上の位置づけ、実務で押さえておきたい課題までを整理します。
物流における荷主の基本的な意味
荷主とは、狭い意味では自社の貨物を運送会社に運んでもらう発注者のことです。メーカーが製品を出荷する場面や、小売業者が商品を仕入れる場面など、モノの取引が発生するところには必ず荷主という立場が存在すると考えて差し支えありません。
ただし、実際の物流は一社完結ではなく、荷物を送り出す側と受け取る側の双方が関わって初めて成り立ちます。そのため、荷主という立場は取引の向きによって性格が変わる点に注意が必要です。
発荷主と着荷主という2つの立場
物流業界では、貨物を送り出す側を発荷主、受け取る側を着荷主と呼んで区別します。発荷主は輸送手段や出荷タイミングを決められる立場にあることが多く、着荷主は荷受けの体制や検品作業のあり方を左右する立場にあります。
同じ企業であっても、ある取引では発荷主として、別の取引では着荷主として振る舞うことは珍しくありません。自社がどちらの立場に立っているかを取引ごとに整理しておくと、後述する法律上の義務も判断しやすくなります。
省エネ法が定める荷主の定義

荷主という言葉が法律上初めて明確に位置づけられたのは、2006年に改正されたエネルギーの使用の合理化等に関する法律、いわゆる省エネ法がきっかけです。輸送分野のエネルギー消費を抑える目的で、荷主にも一定の努力義務が課されるようになりました。詳しい制度内容は資源エネルギー庁の省エネポータルサイトにまとめられています。
一号荷主に該当する条件
省エネ法第105条第1号では、自らの事業に関して貨物の輸送を他の事業者に行わせる者を荷主(一号荷主)と定めています。具体的には、自社製品や仕入商品の輸送を運送会社に委託している企業の多くがここに当てはまります。
年間の輸送量が国の定める基準を超える一号荷主は、資源エネルギー庁への計画書や定期報告書の提出が求められるようになり、単なる発注者以上の責任を負う立場になります。
二号荷主・準荷主との違い
一方、省エネ法第105条第2号で定義される荷主(二号荷主)は、自らが輸送を委託するのではなく、売買契約などを通じて相手方に輸送方法を指示できる立場を指します。たとえば、納入条件の中で配送方法を指定する発注者がこれに該当することがあります。
さらに、実質的に輸送方法を決定できる立場にありながら契約上の荷主とは異なる者を、準荷主と呼びます。実務では誰が輸送の意思決定権を持っているかで判断されるため、契約書の文言だけでなく取引の実態を確認する視点が欠かせません。
物流効率化法における第一種荷主・第二種荷主

2025年4月に施行された改正流通業務総合効率化法(物流効率化法)では、省エネ法とは別の切り口で荷主が定義し直されました。すべての荷主に物流効率化への努力義務が課された点が、この法改正の大きな特徴です。制度の詳細は「物流効率化法」理解促進ポータルサイトで確認できます。
第一種荷主(主に発荷主)の役割
物流効率化法第30条第8号にもとづく第一種荷主は、主に発荷主としての立場から、貨物の運送を業として行う者に運送を委託する事業者を指します。積載効率を高めるための出荷計画づくりや、荷待ち時間の短縮に向けた取り組みが求められます。
第二種荷主(主に着荷主)の役割
同法第30条第9号の第二種荷主は、主に着荷主としての立場から貨物の運送委託に関与する事業者です。荷受け側の設備やスケジュールを見直すことで、トラックの荷待ち・荷役時間を削減する役割を担います。
1つの企業が取引の内容によって第一種荷主と第二種荷主の両方に該当することもあるため、自社のすべての取引を洗い出して確認しておくと安心です。
特定荷主に指定されると何が変わるか
年間の輸送量が一定規模を超える荷主は、特定第一種荷主または特定第二種荷主として指定されます。指定を受けた荷主には、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の作成・提出といった、より踏み込んだ対応が義務づけられます。
荷主に課される努力義務と2024年問題

物流の2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働に上限が設けられたことで輸送能力が不足しやすくなる問題を指します。荷主側の対応次第で運送会社の負担が大きく変わることから、荷主自身にも対策が求められるようになりました。
荷待ち・荷役時間の短縮
トラックが荷主の施設で長時間待たされる、いわゆる荷待ち時間は、ドライバーの労働時間を圧迫する大きな要因です。パレット化の推進や荷役作業の効率化、予約受付システムの導入などによって、待機時間を減らす取り組みが荷主にも求められています。
積載効率の向上と運送契約の書面化
積載率を高めることは、輸送1件あたりのコストとドライバーの負担を同時に抑える効果があります。あわせて、運送委託の内容を口頭ではなく書面やデータで明確にする取り組みも、改正法によって荷主の努力義務として位置づけられました。
これらの取り組みは、義務だからやむを得ず行うものというより、運送会社との関係を長期的に維持するための土台と捉えたほうが実務には馴染みます。
荷主が実務で向き合う課題

制度上の定義や義務を理解したうえでなお、多くの荷主企業が直面しているのは、運送会社との関係づくりそのものに関する課題です。
多重下請け構造と中間マージン
運送業界では、元請けから二次請け、三次請けへと荷物が流れる多重下請け構造が根強く残っています。中間に入る事業者が増えるほどマージンが積み重なり、実際に荷物を運ぶ運送会社の取り分が薄くなりやすい構造です。
荷主にとっても、運賃の内訳が見えにくくなることで、適正な水準かどうかを判断しづらいという副作用があります。
運送会社の実態が見えにくいという壁
荷主が新しい運送会社と取引を始めようとしても、どのような会社なのか、どのようなドライバーが荷物を運ぶのかを事前に知る手段は限られています。ホームページを持たない運送会社も多く、信頼できる相手を探すこと自体が荷主側の負担になっているのが実情です。
荷主と運送会社の直接契約を後押しするハコプロという選択肢

こうした荷主側の悩みに対して、運送会社と荷主企業の直接契約を後押しする形で登場したのが、株式会社LIGOが運営する運送会社検索サービスハコプロです。2024年8月のリリースから短期間で認知を広げ、掲載運送会社数は6万件、営業所数は8.5万件に達しています。
6万件超のデータベースとドライバー名鑑
ハコプロでは、エリアや車両形状、輸送品目といった条件から運送会社を検索でき、気になる会社には直接問い合わせが可能です。多重下請け構造の中では見えにくかった「誰が荷物を運ぶのか」を可視化するドライバー名鑑機能も特徴のひとつで、ドライバーの経歴や仕事への姿勢を確認したうえで依頼先を選べます。
実際に、北海道のある荷主企業は苫小牧港から農協への肥料輸送を担う運送会社をハコプロで探し、釧路市のみどり運輸とのマッチングに至った実績があります。
ホワイト物流の実現に向けて、まずは相談から
荷主にとって、運送会社を直接見つけられることは、中間マージンの削減だけでなく、輸送の実態を自社でしっかり把握できる安心感にもつながります。ハコプロは運送会社側の掲載・利用がすべて無料で提供されており、荷主企業は検索や比較を通じて自社に合った相手を見極められます。
荷主として省エネ法や物流効率化法への対応と合わせて運送会社との関係を見直したいと考えたときは、ハコブログの運営元でもあるハコプロへ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。


