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点呼のやり方と確認事項|運行管理者が押さえておくべき実務のポイント

点呼 確認
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「点呼は毎日やっているが、本当にこれで法令上問題ないのか自信がない」——運送会社の運行管理者や管理職からよく聞こえてくる声です。点呼は道路運送法および貨物自動車運送事業法に基づく義務であり、形式的に実施しているだけでは行政処分の対象になることもあります。

この記事では、対面点呼・電話点呼・中間点呼それぞれの実施手順から、確認事項の具体的な内容、記録簿の記入方法、よくある違反事例まで、現場で実際に使える形でまとめています。日々の点呼業務を見直したい方、新任の運行管理者として基礎から学びたい方にとっても参考になる内容です。

目次

点呼とは何か|運送業における位置づけと法的根拠

点呼とは、運送事業者が乗務員(ドライバー)の乗務前・乗務後・乗務途中に、健康状態やアルコール検知、車両の状況などを確認する業務のことです。単なる「出勤確認」ではなく、交通事故・法令違反を未然に防ぐための安全管理の根幹に位置づけられています。

法的根拠は貨物自動車運送事業輸送安全規則(国土交通省)の第7条に規定されており、一般貨物自動車運送事業者はすべての乗務開始前・終了後に点呼を実施し、その記録を1年間保存することが義務づけられています。旅客運送(バス・タクシー)については道路運送法施行規則第26条が対応する条文です。

では、なぜここまで厳しく法定されているのでしょうか。背景にあるのは飲酒運転や過労運転による重大事故の多発です。点呼を適切に実施することで、出発前に異常を検知し事故を防ぐ——その実効性が制度設計の核心にあります。

点呼の種類:乗務前・乗務後・中間の3区分

点呼は実施タイミングによって3種類に分類されます。それぞれに確認すべき内容と実施義務の条件が異なるため、混同しないよう整理しておくことが重要です。

  • 乗務前点呼(運行前点呼):乗務員が出発する前に実施。アルコール検知、健康状態、日常点検の確認が中心。
  • 乗務後点呼:乗務を終えた後に実施。異常の有無、事故・ヒヤリハットの報告、疲労状態の把握が中心。
  • 中間点呼:長距離輸送など、乗務前・乗務後の両方を「対面または電話」で実施できない場合に途中で行う。

なお、乗務前・乗務後ともに対面で実施できない場合に限り、電話や業務用無線による「電話点呼」が認められています。ただし電話点呼は例外的な措置であり、対面で実施できる場合は必ず対面点呼が原則です。

乗務前点呼のやり方と確認事項

乗務前点呼は、ドライバーが安全に運行を開始できる状態にあるかを確認するプロセスです。確認漏れが一つあるだけで、法令違反として行政処分の対象になりうるため、手順の標準化が欠かせません。

法令上の必須確認項目

貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条が定める乗務前点呼の確認事項は以下のとおりです。

  1. 酒気帯びの有無(アルコール検知器による測定)
  2. 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
  3. 道路運送車両法第47条の2第1項および第2項に規定する日常点検の実施またはその確認
  4. 運行に必要な指示

ここで見落としやすいのが「運行に必要な指示」の部分です。単に「気をつけて行ってきてください」で済ませている事業者も少なくありませんが、法令が求めているのはより具体的な内容です。たとえば「本日の運行経路上で雨天が予想される。○○インター付近は路面が滑りやすいため速度を控えること」「積荷は精密機器のため急ブレーキ・急旋回を避けること」など、その日の運行に即した具体的な指示を伝えることが求められます。

アルコール検知の実施手順

2023年12月からはすべての事業用自動車を保有する事業者に対し、アルコール検知器の使用が義務化されています(白ナンバー車も対象)。点呼時のアルコールチェックは以下の手順で実施します。

STEP
検知器の動作確認

測定前に検知器が正常に動作しているか確認する。電池残量・センサーの状態・校正期限を確認。

STEP
測定の実施

ドライバーに検知器へ息を吹き込んでもらい、数値を確認。測定は運行管理者または補助者が目視で立ち会う。

STEP
数値の記録

測定値を点呼記録簿に記入する。「0.000mg/L」など具体的な数値を記載し、「なし」だけの記録は不十分とされる場合がある。

STEP
異常値の場合の対応

アルコールが検知された場合は乗務させない。再測定を行い、それでも検知される場合は運行の中止と原因確認を行う。

なお、口腔洗浄液や一部の食品がアルコール反応を示すケースがあります。検知された場合に「何を飲食したか」をヒアリングする習慣を持つことも、適切な判断につながります。

健康状態・疲労の確認をどう行うか

「体の具合はどうですか」と聞いて「大丈夫です」と答えれば完了——これが最も多い形式的な点呼の実態です。しかし運行管理者の本来の役割は、ドライバー自身が気づいていない異常を見抜くことにあります。

確認すべき観察ポイントを具体的に挙げると次のようになります。

  • 目の充血・まぶたの重さ(睡眠不足のサイン)
  • 声のトーンや張り(体調不良時は声が低く細くなりやすい)
  • 顔色・口の渇き(脱水・発熱の可能性)
  • 前日の帰宅時刻・就寝時刻の把握(必要に応じてヒアリング)

「本人が大丈夫と言った」は、万一事故が起きたときの免責にはなりません。運行管理者が客観的に判断し、記録することが求められています。

乗務後点呼のやり方と確認事項

乗務後点呼は、安全な運行が完了したかどうかを確認し、次の運行へ向けた情報を収集する場でもあります。乗務前と同様に対面が原則ですが、深夜・早朝の帰着便などでは電話点呼が認められるケースもあります。

乗務後の必須確認事項

法令上、乗務後点呼で確認すべき内容は以下のとおりです。

  1. 酒気帯びの有無(帰着後もアルコールチェックが必要)
  2. 乗務に関する事業用自動車・道路・運行状況の報告
  3. 疾病・疲労・睡眠不足の有無

「帰着後にもアルコールチェックが必要なのか」と驚く方もいますが、これは法令上明確に義務づけられています。帰着途中に飲酒した可能性を排除するためです。

運行状況の報告については、ヒヤリハット・トラブルの情報を引き出す問いかけが重要です。「何か変わったことはありましたか」という漠然とした質問より、「今日の○○の区間で渋滞はありましたか」「荷卸し先で何か気になることはありましたか」など、具体的な問いかけのほうが情報を引き出しやすくなります。

車両の異常報告と日常点検との連携

乗務後点呼では、車両に異常がなかったかどうかの確認も重要な業務です。走行中に気づいたブレーキの感触の変化、異音、ライトの不具合などをドライバーから報告させ、整備管理者へ引き継ぐ仕組みを作ることが求められます。

乗務後点呼で発覚した車両不具合を翌日の乗務前点呼まで放置することは、法令上も安全管理上も問題があります。当日中に整備管理者への情報共有と対応判断を行う体制を整えておくことが重要です。

中間点呼が必要な運行とその実施方法

中間点呼は、すべての運行で必要なわけではありません。「乗務前点呼と乗務後点呼をいずれも対面で実施することができない場合」に限り義務が発生します。具体的には、出発地と帰着地が異なる長距離輸送や、宿泊を伴う運行などが該当します。

中間点呼が必要になる条件

国土交通省の通達では、中間点呼が必要な運行を次のように整理しています。

乗務前・乗務後のどちらか一方でも対面で実施できる場合は中間点呼の義務は生じません。両方とも対面点呼ができない場合に限り、乗務の途中で少なくとも1回の中間点呼が必要になります。

たとえば、東京を早朝に出発して大阪で荷卸しし、翌朝大阪を出発して東京に戻るような運行では、出発時・帰着時ともに拠点の管理者が不在となりえます。このような場合に中間点呼を電話等で実施する必要があります。

中間点呼の実施タイミングと確認内容

中間点呼のタイミングについて法令上の厳密な規定はありませんが、実務上は宿泊地到着時または翌朝出発前に行うケースが多いです。国土交通省の「運行管理者手帳」でも「乗務の途中において少なくとも1回」と記載されているにとどまります。

中間点呼の確認事項は次のとおりです。

  • 酒気帯びの有無(アルコール検知器の使用が求められる)
  • 疾病・疲労・睡眠不足の有無
  • 車両の異常の有無
  • 運行の状況(積荷の異常、道路状況など)

中間点呼において悩ましいのが「アルコール検知器の使用」です。ドライバーが拠点外にいるため、ドライバー自身が検知器を携行して自己測定し、その数値を電話で報告するという形になります。この場合も記録簿への記入は必要です。

電話点呼の要件と注意点

電話点呼は「対面点呼が困難な場合の代替手段」として認められていますが、実際の運用では誤解が多い領域でもあります。

電話点呼が認められる条件

電話点呼が許容されるのは、対面点呼が実施できないやむを得ない理由がある場合です。「管理者が不在だから」という理由で常態的に電話点呼を使用している場合は、法令違反として処分の対象になります。

電話点呼の具体的な要件は以下のとおりです。

  1. 電話その他の通信手段によりリアルタイムで通話できること(録音メッセージや折り返し確認はNG)
  2. 運行管理者または補助者が直接通話に応じること
  3. 確認事項は対面点呼と同等の内容を実施すること

なお、2023年1月からはIT点呼(映像と音声による点呼)が一定の要件を満たした事業者に認められるようになりました。IT点呼の要件については国土交通省の自動車運送事業者向け告示を確認することが推奨されます。

電話点呼でのアルコールチェックの扱い

電話点呼の場合、運行管理者はアルコール検知器の測定値をドライバーから口頭で報告を受けることになります。この場合も検知器の使用自体は必須であり、「電話だから検知器なし」は認められません。ドライバーが携行している検知器の測定値を報告させ、その値を点呼記録簿に転記します。

点呼記録簿の書き方と保存義務

点呼を適切に実施しても、その記録が不十分であれば法令上は「実施していない」と判断されます。記録簿の記入方法と保存要件についても、正確に理解しておく必要があります。

記録すべき必須項目

貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条が定める点呼記録の必須事項は以下のとおりです。

項目 記載内容
点呼の日時 年月日・時刻を具体的に記入
点呼の場所 対面・電話の別、場所の記録
運転者名 フルネームで記入
車両登録番号 使用車両のナンバー
点呼執行者名 運行管理者または補助者のフルネーム
アルコール検知の結果 測定値(mg/L)を具体的に記入
健康状態の確認結果 異常の有無と具体的な状況
指示事項 運行に関する具体的な指示内容

記録は1年間の保存が義務づけられています。紙での保存が一般的ですが、電子記録での保存も一定の要件を満たせば認められています。

「指示事項」の記録が形骸化しやすい理由

実際の点呼記録簿を見ると、指示事項の欄に「安全運転」「法定速度を守ること」と繰り返し記載されているケースが非常に多く見られます。これは法令の文言を満たしているように見えますが、行政監査で「形式的な記録」として問題視されることがあります

指示事項には、その日の運行に固有の内容を記録することが理想です。「○○県道の工事区間を迂回すること」「積荷の重量超過に注意し、高速道路では制限速度を遵守すること」など、具体性のある記録が求められます。

点呼執行者の要件と運行管理者の1/3ルール

点呼はだれが実施してもよいわけではありません。点呼を執行できる人物の要件と、運行管理者が直接執行しなければならない回数の制限を正確に把握しておく必要があります。

点呼執行者として認められる人物

点呼を実施できるのは、運行管理者または運行管理補助者です。運行管理補助者とは、運行管理者が選任した者で、一定の教育を受けた従業員が担当します。ドライバー同士での点呼(いわゆる「ドライバー点呼」)は法令上認められていません。

運行管理者が直接執行すべき点呼回数とは

貨物自動車運送事業輸送安全規則では、総点呼回数の少なくとも3分の1以上は、選任された運行管理者自身が行わなければならないと規定されています。

つまり、すべての点呼を補助者に任せることは法令違反です。たとえば月100回の点呼が発生している事業所であれば、運行管理者本人が最低34回以上を担当する必要があります。

この「1/3ルール」は行政監査でも頻繁にチェックされる項目の一つです。点呼記録簿を月次で集計し、運行管理者自身の執行割合を確認する習慣を持つことが現場では重要になります。

点呼違反の行政処分と実際のリスク

点呼に関する法令違反は、軽微なものから事業停止に至るものまで幅広い行政処分の対象となります。「見落とされやすいから大丈夫」という認識は、現在の監査体制では通用しません。

違反点数と処分の目安

国土交通省の「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準」(いわゆる「行政処分基準」)では、点呼に関する違反は以下のように処分が規定されています。

  • 点呼を実施しない(またはドライバー点呼):違反点数10点/1件
  • アルコール検知器を使用しない:違反点数10点/1件
  • 点呼記録に必要事項の記載がない:違反点数5点/1件
  • 点呼記録の保存を怠る:違反点数5点/1件

違反点数が累積すると、警告・事業停止・最終的には事業取消しに至ります。複数のドライバーに対して点呼未実施が発覚した場合、件数分の違反点数が一度に加算されるため、発覚時点での処分は深刻なものになりがちです。

「実施していた」証明ができなければ未実施と同じ

行政監査において、記録がない点呼は実施していないと判断されます。「口頭では確認していた」「紙に書き忘れただけ」という弁明は通りません。丁寧な点呼を毎日実施していても、記録簿が不完全であれば処分の対象となる可能性があります。

これは非常に重要な視点です。点呼の「質」を上げる努力と同時に、記録の「正確さと完全性」を維持する仕組みを構築することが、リスク管理の観点からも欠かせません。

点呼業務を効率化するための実務的な工夫

点呼業務の課題は「時間がかかる」「形式化してしまう」「記録が煩雑」の三点に集約されます。これらを解決するための実務的なアプローチを紹介します。

チェックシート形式の点呼票を活用する

毎回すべての確認事項を口頭で確認しながら記録するのは非効率です。確認項目をチェックシート形式にした点呼票を用意し、チェックを入れながら進めることで、抜け漏れの防止と時間短縮を同時に実現できます。

ポイントは「指示事項」欄だけ自由記述スペースを設けることです。定型項目はチェックで済ませながら、その日の運行に固有の指示だけを文章で記入する設計にすると、記録の質が上がりやすくなります。

IT点呼システムの導入を検討する

国土交通省が認めたIT点呼システムを導入すると、タブレット端末での顔認証・アルコール測定値の自動記録・記録簿のデジタル管理などが可能になります。特に複数拠点を持つ事業者や、深夜・早朝帯の点呼が頻発する事業者にとって、管理コストの大幅な削減につながります。

ただし、IT点呼には事前申請や使用機器の要件があります。導入前に管轄の運輸支局へ確認することが必要です。

月次で点呼記録を「振り返る」習慣

点呼の質を維持するうえで見落とされがちなのが、記録の定期的な振り返りです。月に一度、過去1か月分の点呼記録を確認し、指示事項が形式的になっていないか、健康状態の記録が「異常なし」の繰り返しになっていないかをチェックする習慣を持ちましょう。

同時に、運行管理者自身が執行した点呼の割合(3分の1ルール)を集計するタイミングにもなります。月次集計を仕組みとして持つだけで、法令コンプライアンスの水準が大きく変わります。

よくある点呼の疑問とその答え

現場でよく寄せられる疑問について、実務的な観点から回答します。

貨物軽自動車運送事業者も点呼は必要か

一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)については法令上の義務が明確ですが、貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)については、現行の輸送安全規則の直接適用はありません。ただし、ドライバーの安全管理として任意での実施が推奨されており、大手荷主との取引において点呼実施が実質的な条件とされるケースが増えています。

運行管理者が不在の夜間帯はどうすればいいか

夜間や早朝に運行管理者が不在となる場合は、選任された運行管理補助者が点呼を実施します。ただし前述の「3分の1ルール」があるため、補助者に任せすぎると法令違反になる可能性があります。シフトの設計段階から、運行管理者自身が点呼に関与できる体制を組み込むことが重要です。

ドライバーが点呼を拒否した場合の対処法

点呼はドライバーに対して法令上の義務(報告義務)が課されています。正当な理由なく点呼を拒否した場合、事業者はドライバーを乗務させてはなりません。また、就業規則上の懲戒事由として点呼拒否を明記しておくことで、労務管理上の対処も可能になります。

運送会社としての点呼体制を見直すなら

点呼業務の適切な実施は、安全管理の根幹であると同時に、荷主との信頼関係にも直結する要素です。ホワイト物流の推進が社会的に求められる中、点呼体制の整備は「コンプライアンス対応」にとどまらず、荷主企業へのアピールポイントにもなりえます。

ハコプロは、運送会社と荷主企業の直接契約を促進する運送会社検索サイトです。掲載している運送会社の情報には「ドライバー名鑑」や「会社PR」など、安全管理体制や企業文化を可視化できる機能が備わっています。点呼をはじめとする安全管理に取り組んでいる運送会社が、荷主企業に直接その姿勢を伝えられる場として活用されています。

「しっかりした点呼体制を持っているのに、それが荷主に伝わっていない」と感じている運送会社の方は、ハコプロへの掲載を検討してみてください。掲載は完全無料で、情報更新も回数制限なしで利用できます。

まとめ

点呼は「形式を整えれば終わり」ではなく、ドライバーの安全と事業者の法令遵守を両立させるための実質的な管理業務です。この記事で解説した内容を整理します。

  • 点呼は乗務前・乗務後・中間の3種類があり、それぞれ確認事項と実施条件が異なる
  • アルコール検知器の使用はすべての点呼で義務。測定値を具体的に記録することが必要
  • 指示事項は「安全運転」などの定型文でなく、その日の運行に固有の内容を記録する
  • 運行管理者自身が総点呼回数の1/3以上を執行しなければならない
  • 記録のない点呼は未実施と判断される。記録の完全性が行政処分リスクを左右する
  • 中間点呼は乗務前・乗務後ともに対面点呼ができない場合に限り義務が生じる

点呼の質を上げることは、事故防止・法令遵守・そして荷主からの信頼獲得に直接つながります。日々の運用を見直す機会として、この記事をぜひ活用してください。

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