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付帯作業とは?注目されている背景や見直しのプロセス・事例も紹介!

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トラックドライバーが、運送業務以外に荷主から依頼を受けて行う付帯作業は、労働時間をいたずらに延ばす要因として問題視されています。

2024年4月から働き方改革によってトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に規制されることで生じる「2024年問題」が注目される中で、付帯作業見直しの必要性が、従来以上に一層浮き彫りになってきました。

本記事では、付帯作業の概要や注目されている背景、また付帯作業見直しのプロセスや見直し事例について深掘りします。付帯作業に困っている運送会社や見直しを検討している荷主の皆様は、ぜひ参考にしてください。

目次

付帯作業とは

最初に付帯作業の概要と注目されている背景、また付帯作業に関する規制と義務について解説します。
付帯作業とは、荷造り、積み込み、荷降ろし、仕分け、棚入れといった、トラックドライバーの本業である貨物を運ぶ作業以外のサブ的な業務を意味します。

付帯作業は、運送が本業のドライバーからすると余計な作業かもしれません。しかし、荷主にとっては、貨物の積み込みや荷降ろし、倉庫や建物の上層階に貨物を運ぶ縦持ちといった作業は負担が重く、体力や力のある男性ドライバーがサービスで手助けしてくれることを期待する文化が慣習化したと考えられます。

とくに1990年の​​「貨物自動車運送事業法」と「貨物運送取扱事業法」の物流二法の施行・改正によって免許制だった貨物自動車運送事業が許可制に、運送取次事業が登録制になるなどして物流事業への参入が容易になったことで、物流事業者が4万社から6万社に急増したことは見逃せません。

こうした背景から、ライバル業者のドライバーが付帯作業を行っているのに断ると仕事がもらえなくなる恐れがあるため、荷主の顔色を窺いながらついあれもこれもと気を利かせることが、業界の常識となったといえるでしょう。

例えば、付帯作業現場のワンシーンを紹介しましょう。

仕分けられていない貨物を一つずつ仕分ける

それらを一つずつトラックに積み込見込んで配送

指定の物流倉庫などに到着したら、貨物をすべてパレットに載せる

パレットから格納用パレットに手作業で移す

商品バーコードをスキャンした上で商品をすべて仕分ける

仕分けた商品を指定のスペースにまで運ぶ

といった具合です。

貨物量やその中身にもよりますが、長い場合はこの作業に数時間を要することもざらです。こういった本業以外の作業が、ドライバーにとっていかに負担になるかは、想像に固くありません。

付帯作業が注目される背景 

付帯作業は、自主的というよりは荷主から依頼されて行うケースがほとんどです。しかも長時間に及ぶことが珍しくないため、運送業界の長時間労働の要因となっています。集貨地点に到着してもすぐに積み込んだり荷降ろししたりできずに待機せざるをえない荷待ち時間とともに、大きく問題視されているのです。

とりわけ最近になり、以前にも増して付帯作業の悪影響が強く指摘されるようになりました。理由は、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に規制されることによって深刻な輸送力不足が生じる「2024年問題」が危惧されることによります。

ただでさえ輸送に費やせる時間が少ない上に、本業ではない付帯作業を強いられたのでは、輸送力不足は確実に目減りするでしょう。するとさまざまな企業やそのステークホルダー、さらに個人の生活にまで深刻な影響を及ぼす恐れが生じます。

しかも、付帯作業に対する対価がまったく支払われない場合も少なからずあるので、トラックドライバーの低賃金を今まで以上に助長するうえ、不満やストレスから仕事へのやり甲斐が持ちにくくなるリスクもあるのです。2024年問題が、トラックドライバーの大量離職や運送会社の倒産といった事態にまで深刻化する可能性も否定できません。

これらのような事態を防止する意味でも、付帯作業の削減や廃止および料金収受といった見直しを積極的かつ迅速に推し進めなければならないのです。

付帯作業に関する規制・義務 

続いて、すでに存在する付帯作業に関する規制や、2024年2月13日の閣議で決定されたばかりの義務について具体的に見ていきましょう。

①標準貨物自動車運送約款(運送会社と荷主との間での契約書の雛形)の一部を改正
平成29年11月4日に運送会社と荷主との間での契約書の雛形である標準貨物自動車運送約款が一部改正されました。これにより、​​運送の対価としての「運賃」と、運送以外の役務等の対価としての「料金」を適正に収受できる環境が整備されました。

具体的には、従来は付帯作業があるにもかかわらず、それをあえて明記せずに運賃のみの契約が可能であったところを、「運賃」と「付帯作業」を分けて、運賃とは別料金として収受する内容に変更されたのです。

記載事項として、​​「積込料」「取卸料」「待機時間料」といった料金の具体例が示され、付帯作業の内容も「横持ち」などと明確に記載することを促しています。

このときに新しく改正された約款は、主たる事務所とその他営業所に掲示しなければなりません。加えて、運賃と付帯作業を含むその他の料金を国土交通省に届け出る必要もあります。

②荷待ち時間とともに、削減計画の義務化(物流総合効率化法の改正案)が国会提出 

流通業務総合効率化法への名称変更が予定されている物流効率化法の改正により、荷主には荷待ち時間および付帯作業の削減計画作成を義務付けることが、2024年2月13日の閣議で決定されました。そのまま同年の通常国会に提出される予定です。 

違反すると、最大で100万円の罰金が科されます。  

付帯作業の見直しプロセス

ここからは、付帯作業を見直すプロセスについて解説しましょう。

付帯作業の詳細や負担をくまなく把握しているのは、運送会社(トラックトライバー本人)です。荷主も依頼している側ですから、付帯作業の内容については認識しているはずですが、見て見ぬふりをしていたり、担当者が変わることですべてを把握しきれなくなっていたりする可能性は十分にあり得るでしょう。

つまり、付帯作業の見直しはその実効性を確かなものにするためにも、必ず運送会社と荷主が同じテーブルについて協議しながら進める必要があります。

STEP
付帯作業の洗い出し

まず付帯作業について運送会社と荷主が共通認識を深めるために、一緒に洗い出しを行います。

どこまでが、本業で、どこからが付帯作業なのかを項目化して書面に列挙していきます。ここで相互にとっての付帯作業の定義を完全に一致させておくことが重要です。

極端な例ですが、運送会社と荷主が長年の取引関係にある場合に、かつての社長や担当ドライバーが「荷降ろしくらいウチでやりますよ。お代は要りません」と口約束していたとしましょう。すると長年にわたって、荷降ろしは付帯作業でありながらトラックドライバーが無償で行うのが暗黙の了解となっているとも考えられるのです。

ところが、当時とはまったく別の経営者や担当者同士が付帯作業の洗い出しを行うと、荷主は「荷降ろしは無償サービスとの口約束があったと聞いている」と主張しても、運送会社側が「知らない」と言い張るかもしれません。すると言った言わないの水掛け論になって関係が悪化する恐れがあるでしょう。

そこで、過去のやり取りはすべて横に置いて、両者にとっての付帯作業を定義する必要があります。この作業が完了しなければ、その先へは進めないので、両者が納得できるまでしっかりと腰を据えて取り組まなければなりません。

STEP
役割分担の仕分け

付帯作業の洗い出しが済んだら、続いてはそれらの役割が運送会社と荷主のどちらにあるのかを明確に仕分けていきます。

例えば冒頭に付帯作業のワンシーンを具体的に示しましたが、その中で指定の物流倉庫に届けた商品の検品と仕分けをトラックドライバーが行っています。客観的にみると、これはあきらかに着荷主の役割といえるでしょう。しかし、力関係で劣勢にある運送会社側は、それを着荷主に主張することができなかったと考えられます。

ところが、適正な役割分担の仕分けがなされると、「商品の検品と仕分けは着荷主が行う」と明文化、両者の共通認識となります。

こうしたプロセスをすべての付帯作業について行うわけですが、そうすんなり進まない事情があります。

それは、着荷主が上記付帯作業を行うためには、新たに雇用するか配置転換によって担当者を設置しなければなりません。あるいは別会社にアウトソーシングすることになるでしょう。それが可能かどうかの判断と、可能だとしてその費用をどのように捻出するかという問題が残ります。それが次のプロセスです。

STEP
費用負担ルールや条件の明確化と書面化

役割分担した付帯作業を新たな形で行っていくためには、多くの場合、新たに費用が発生します。

上記の例でいえば、検品と仕分け要因となる作業員の人件費や、アウトソーシングする場合のコストがそれに当たります。あるいは他に「検品と仕分けを運送会社が継続して有償で行う」という選択肢も考えられるでしょう。

付帯作業によっては、人件費のみならず設備費や土地や建物の賃借代が必要になるかもしれません。

最終的に、どちらが、何を、どのように(両者が一定の割合で負担し合う場合も含む)、いくらで、いつまでに行うかといった条件を明確にしたうえで書面化します。

付帯作業の見直し事例 

最後に、付帯作業の見直し事例やそこにある課題、着荷主側へのメリットについて解説しましょう。

付帯作業の廃止(着荷主側で実施)

あるトラックドライバーは、倉庫に到着すると自らクレーンを操作して荷降ろし作業を行い、間配りや階上げといった付帯作業を行っていました。

ところがその作業に毎回30分以上を要し、発荷主は運送会社から付帯作業分の料金を請求されていました。

そこで着荷主のフォークリフトで専門作業員が荷降ろしを行うようにして、間配り等の付帯作業を廃止しました。専門作業員に任せると荷降ろしと搬入がスムーズに進むようになり、運送会社に適切な運行計画を提案。結果として1日の便数を1台減らすことに成功しました。

着荷主のメリットとして、付帯作業はなくなり、事前に荷降ろし作業の内容を把握して専門作業員を手配することによって、当日の人員配置、作業手順の徹底、現場作業の効率化が実現しました。

付帯作業の料金収受

あるドライバーは、荷降ろし後に仮設資材搬入に関わる付帯作業を行っていました。
ところが運送会社は、発荷主に付帯作業の廃止または付帯作業料金の支払いを要請。

そこで発荷主は、同付帯作業を廃止して、すべてアウトソーシングすることにし、その費用を着荷主に請求することにしました。

着荷主のメリットとして、もとは45分かかっていた付帯作業がなくなり、荷降ろし後すぐにトラックが去るため、停車スペースの有効活用ができるようになりました。

付帯作業の廃止(コスト表を定義のうえ着荷主側で実施)

あるトラックドライバーは、荷降ろし作業が終了した後も棚入れや階上げといった付帯作業を要請されて行っていたものの、すべて無償でした。

この問題解決のため、トラックドライバーには指定した1箇所でのみ荷降ろしをしてもらうことにしてドライバーの付帯作業を廃止。棚入れなどの作業が発生する場合は、新たに定義したコスト表にしたがって別建てで追加報酬を明確にし、着荷主側の倉庫作業員に実施させるようにしました。

着荷主には、中途半端な荷受け体制の見直しができ、効率的な棚入れができるようになったため、作業員の生産性向上が実現しました。

まとめ

運送業界では長年にわたり、どうしても運送会社に対して荷主の方が優位的立場にあるとか、実運送会社と発・着荷主の間に多数の企業が挟まっている、あるいは荷主の物流担当者の移動や変更といった理由で交渉がしづらく、付帯作業の無償化が日常化していました。

しかし2024年問題が本格化する中、このまま付帯作業に貴重な労働時間を奪われていると、輸送力不足が顕著となり、運送会社の収益は減少、トラックドライバーの収入も減り、負のスパイラルに突入することになりかねません。

そこで、付帯作業については運賃と別で収受するなり、付帯作業を廃止して別の形で補完することを考える必要があります。そのためには、運送会社の企業努力だけではどうにもならず、荷主の理解と協力が必須となるでしょう。

そうすることにより、待機時間が長いとか荷役負担が大きいといった悪条件の案件は、優良な運送事業者とのマッチングが困難となり、徐々に業界のホワイト化が推進されると期待できるのです。

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