倉庫や工場、海上コンテナといった物流現場で貨物を載せるパレット。フォークリフトを使って一度に大量の貨物を搬送することができるので、非常に便利です。
現在、そのパレットごとトラックに載せて貨物を輸送する「パレット輸送」が大変注目されています。
本記事では、パレット輸送の概要や注目されている理由やメリット、パレット輸送導入にあたって検討すべき点について解説します。導入事例もご紹介するので、荷主企業や運送会社の皆様は、ぜひ参考にしてください。

パレット輸送とは
まずパレット輸送についての基本知識と、現在注目されている背景について解説しましょう。
パレット輸送とは何か
フォークリフトを使って貨物が直接載せられる荷役台であるパレットを、トラックに貨物とともに積み込み、輸送し、荷降ろしするプロセスをパレット輸送といいます。
パレット輸送によって、棚卸をはじめとする荷役作業にかかる時間が短縮され、作業員の負担も軽減できます。
また、貨物をほぼ同じ直方体の塊にし、大きな隙間なく整然と保管できます。そのため、トラックの荷台や倉庫内のスペースを有効利用することで、物流効率をアップできるのです。
パレットの種類
パレットには、さまざまな種類がありますが、中でもフラットでスノコのような見た目の平パレットが圧倒的に多いです。
素材は木材が主流でしたが、湿気に弱く腐りやすいため、日本の風土には不向きです。それより軽くて耐久性と耐水性に優れたプラスチック製のシェアが伸びています。
他にも以下のような形状があります。
- ボックス・・・鉄製の網状の側板によって3面ないし4面が囲まれている箱型のパレットです。
- ロールボックス・・・キャスター付きのボックスパレットです。
- サイロ・・・粉体、流体専用で、下部に開閉装置があります。
- タンク・・・流体専用で、上部や下部に出し入れ口があります。
- シート・・・紙や樹脂製でできたシート上のパレット。米袋や飼料など向けで、上下に積まれた貨物と貨物の間に挟むことで荷崩れ防止にもなります。
素材も、上記の木材やプラスチック、紙や樹脂のほかに、金属製があります。
パレット輸送が注目される背景
パレットが一際注目されるようになったのは、ドライバーの労働時間問題がいよいよ現実味を増してきたからです。
慢性的なトラックドライバー不足が続く中、2024年4月からドライバーの時間外労働が年間960時間に規制されることになりました。これにより一層トラックドライバーの人手不足が深刻化し、モノが運べなくなると危惧されるのが、「2024年問題」です。
ドライバーの仕事は輸送業務に他なりませんが、実際の現場では、貨物の搬入出を待つ荷待ち時間の長期化や、荷役などの付帯作業の多さによって、拘束時間がいたずらに長引いているところに2024年問題を引き起こす一端があります。
そこで付帯作業を効率化したり、倉庫や工場などでの荷役時間を短縮したりするソリューションとしてパレット輸送が注目されているのです。

パレット輸送のメリット・効果
パレット輸送のメリットや効果について、さらに掘り下げていきましょう。
具体的には、以下の3点が挙げられます。
- 積卸しや保管の時間・負担の削減
- トラックや倉庫スペースの有効活用
- 商品の破損・汚損リスクの低減
積卸しや保管の時間・負担の削減
パレット輸送により、フォークリフトを使ってパレットごと積卸しや収納スペースに保管できると、作業時間の大幅短縮が可能になります。
業界によっては、積み込むだけで2〜3時間前後、荷降ろしにも1時間ほどかかるケースが珍しくありません。それがフォークリフトを使うと半分近くの時間で済むことが多いため、大幅な時短効果が期待できるでしょう。
加えて、手積みに比べて力作業が激減するので、体への負担を削減したり、省人化したりできます。
トラックや倉庫スペースの有効活用
パレットの形状は正方形や長方形で、同じ作業場では同じ形状のものが使われることが多いです。
すると、その上に貨物を積み上げることで似たような形状の長方形の塊ができます。これらをピッタリと並べたり、縦方向に積み上げたりすれば、積載効率がアップし、倉庫などの省スペース化にも大変大きな効果を発揮します。
ただ現実面では、荷主の立場からすると、パレットを貨物とともに積み込むことにより積載可能な容積が減り、コストパフォーマンスの上で損失が発生するリスクがあるため、パレットをあえて使わなかったという事情も背景にあります。
商品の破損・汚損リスクの低減
パレットを使うと、貨物が直接地面や床に接触することがなくなります。また、貨物同士がぶつかるなどの外的衝撃も極めて少なくなります。こうしたことによって、貨物が濡れたり、汚損や破損したりといったリスクが低減します。
パレット輸送の導入に向けた検討論点
パレット輸送を導入するにあたって、準備するべきことや検討すべき点について解説しましょう。
フォークリフトが必要
まずパレット輸送導入には、発荷主と着荷主のそれぞれがフォークリフトを所有していることが前提になります。
手作業では、せっかくパレットを利用する意義が薄れてしまうからです。
また最近では女性のフォークリフトオペレーターも増えてきているため、活用頻度が増加すると物流現場では少ない女性従業員の増加や女性活躍推進にもつながります。
パレットとフォークリフトの有効活用により、発荷主の工場から貨物を積み込み、輸送して着荷主の倉庫で荷卸し、保管するまでいっさい解体したり変形させたりしない「貫パレチゼーション」が実現すると、物流効率化と省人化といった効果の最大化が期待できるでしょう。
ただし、自前のフォークリフトオペレーターがいない場合は、新たに採用するか外注する必要があるので、そのための予算確保も忘れてはなりません。
レンタルか購入か
パレット輸送を本格的に始めるとなると、相当数のパレットを入手しなければなりません。
そこで問題となるのが、購入して自社の資産にするか、レンタルで済ますかという点です。
保管に使うだけなら自社の施設内に置いておけるので購入が、輸送に使うなら行った先などで返却できるレンタルの方が利便性もコストパフォーマンスも高まるのが一般的です。
しかし実際には、季節波動があり、年間の限られた保管期間のために、マックス量のパレットを購入するのはコスト面で非常にロスが大きくなるでしょう。
故に、必要なときに必要な分だけ手配できるレンタルの方が優位性が高いケースがあり得ます。
急な需要のときにも慌てずに手配できる点も非常に助かります。
使っていないパレットの保管スペースが必要なくなる点もメリットになるでしょう。
繰り返しますが、パレット輸送した先で貨物を降ろした後は、パレットが不要になります。それを持ち帰るのではなく、その場で返せること、逆に好きな場所で借りられるというのもレンタルの良さでしょう。
ただし、このようなケースでも長期の定期配送業務がある場合は、購入しておく方が有利なこともあります。
ちなみにその際でも、パレットが輸送先の倉庫などで他社のものとごちゃ混ぜになったり、紛失したりして結果的に損をするケースが非常に多いので、管理の仕方を工夫・徹底することが大切です。
最後に、パレットは清掃や補修が大変な作業になります。多ければ数百単位の規模になることもあるため、メンテナンスの手間やコストは膨大になるでしょう。
レンタルでは、それが必要なくなる点も大きなメリットです。
上記のような購入とレンタルのメリットやデメリットを考慮しながら、どちらにするか、あるいは必要に応じて併用するか、といった最適解を見出すことが大切です。
ちなみに、国交省では「官民連携物流標準化懇談会」が開催されており、その中の「パレット標準化分科会」では強くレンタルパレットを推奨しています。
その一方で、以下で述べるパレットサイズの標準化について、荷主の中には、すでに独自サイズのパレットを使い続けてきた例も多く、それらを廃止して標準化したり、レンタルに切り替えたりするのは、決して容易ではないことも事実です。
サイズは標準規格
パレットのサイズは、国や地域によって以下のようにさまざまです。
- 日本→1100× 1100× 144mm(「T11型パレット」というJIS規格)
- 韓国・中国→1100 ×1100mm(「T11型」といわれる規格)
- 中国→1200 ×1000mm
- ヨーロッパ・中国→1200× 800 mm
- アメリカ→1219 ×1016mm
- オーストラリア→1165 ×1165mm
ただし、日本で上記のT11型パレットが利用されているのは3割に過ぎないと言われており、厳密にみていくとサイズは100種類にものぼるとされています。
中国でも、上記のように業者によって異なるサイズのものが使用されているのが現状です。
このようにサイズがバラバラだと物流システムの設計が困難になり、物流効率化が進みにくくなります。
そのため、日本においては「いちいち型」と呼ばれる「T11型パレット」が推奨されており、各事業者向けに標準仕様が求められています。
「いちいち型」は、国内トラックやコンテナのサイズと相性が良いため、積載効率が上がります。
パレットが標準化されると以下のようなメリットが想定できます。
- 荷役作業がスムーズになることにより労働時間短縮、省人化が進む
- 異業種や他社の間でも同サイズのパレットを活用していると、物流コストを下げる効果のある「共同配送」が円滑に進む
- 統一されていると積載効率がアップし、作業が楽になって破損リスクも低減する
- 標準化されるとリサイクルしやすくなるため、廃棄物が減少し、持続可能性が高まる
つまり、すでに述べたパレット輸送のメリットを最大化しようと思えば、事業者が協力してサイズの標準化に取り組むことが非常に有益といえるのです。
RFIDタグ活用でDXを推進
パレットにRFIDタグを搭載すると、電波でICタグの情報を読み取れるようになります。
すると、どの貨物にどんな商品がどれくらい積まれており、賞味期限がいつまでかといった情報がデータベースに保存されるので、人による検品作業が不要になります。
データを分析・活用すれば、物流のDX化が進み、業務効率アップと競争力強化にも寄与するでしょう。
ノーマルなパレットと比較すると割高ですが、レンタルパレットでもRFIDタグ込みのサービス提供が受けられるため、うまく活用すれば2024年問題解決に大いに役立つと考えられます。
パレット輸送の導入事例
カルビー株式会社
国内屈指のお菓子メーカー「カルビー株式会社」は、1986年に首都圏でパレット輸送を導入し始めました。
ところが、西日本においてはあまり導入が進みませんでした。
しかし、物流環境が厳しくなる状況を前に、2014年「ドライバーに易しく、優しい環境作り」をスローガンとして翌年から京都工場から西日本に出荷する「じゃがりこ」を全面的にパレット輸送に切り替えます。
じゃがりこは、サイズが小さくて12個入りのケースもコンパクトのため、ドライバーが手積みしていました。その作業時間は5,000ケースにつき3時間ほどを要していたそうです。
これをパレット輸送にすることで、積み込みと荷降ろしが30〜40分と劇的に短縮され、1運行あたりの作業時間も4時間以上短くできました。
参考:https://www.jpr.co.jp/topics/case/calbee.html
YKK ap株式会社
建材メーカー大手の「TKK ap株式会社」は、2015年、パレット輸送を活用した「積み付けプロジェクト」の実施により、東北製造所から四国への物流コストを17%削減することに成功しました。
「積み付けプロジェクト」とは、パレットに載せた荷物の外形を10パターンの「パレットサイズ」に分類。トラックに積載する際の組み合わせを108パターン考案しました。
その時々のニーズとトラックサイズに合わせてもっとも効率の良い積み付けパターンを選択することによって積載効率が飛躍的にアップし、物流のトータルコストを大幅に削減できたのです。
参考:https://www.kke.co.jp/solution/casestudy/14779
まとめ
パレット輸送を導入すると、
- 荷物の積み下ろしや保管にかかる時間が短縮できる
- トラックや倉庫スペースを有効活用できる
- 商品の破損・汚損リスクが低減できる
といったメリットが生じます。
とくに最初の「荷物の積卸しや保管にかかる時間を短縮できる」と、トラックドライバーの労働時間が大幅に削減できるでしょう。
2024年問題により、トラックドライバーの時間外労働の上限が規制されると、企業や個人、その他の重要施設に必要な貨物が届かない物流クライシスに陥る恐れがあります。
そのような事態を回避するためにも、荷主や運送会社が協力してパレット輸送の導入やパレットの標準化に1日も早く取り組む必要があります。
LIGOは、物流のホワイト化が確実に進むためのお手伝いを真剣に取り組んでおります。その一環として、パレット輸送を積極的に活用している荷主様や運送会社様を応援してまいります。今度、パレット輸送の導入を検討される場合は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。


