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トラック法改正で変わる委託ルール|荷主が今取るべき実務対応

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「トラック法改正」という言葉をニュースや取引先とのやり取りで耳にする機会が増えています。運送会社にとっても荷主企業にとっても、契約の結び方や委託の仕方そのものが変わる内容を含んでいるため、他人事では済まされません。

ただ、実際に調べてみると「2024年に改正されたはず」という情報と「2026年4月から新しく施行される」という情報が混在していて、どの改正がいつから何に効くのか分かりにくいという声もよく聞きます。この記事では、貨物自動車運送事業法をめぐる一連の法改正の全体像を整理したうえで、運送会社と荷主企業がそれぞれ今から準備すべき実務対応を具体的に解説します。

目次

トラック法改正とは何か 二つの改正の流れを整理する

「トラック法改正」と一括りに語られがちですが、実際には時期の異なる二つの改正が背景にあります。ひとつは2024年問題への対応として進められた改正、もうひとつは2025年6月に成立し2026年4月以降に段階的に施行される改正です。両者を混同すると、いつ何が義務化されるのかを見誤りやすくなります。

2024年の改正 物流効率化法とセットで動いた背景

2024年5月15日に公布された改正は、正式には流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流効率化法)と貨物自動車運送事業法をあわせて改正するもので、いわゆる2024年問題への対応が主眼でした。荷主・物流事業者に対する努力義務の強化や、一定規模以上の事業者に中長期計画の作成を求める仕組みなどが盛り込まれています。

この段階ではまだ、書面交付義務の対象拡大や白ナンバートラックへの規制強化といった項目までは踏み込んでいません。あくまで物流全体の効率化を促す土台づくりという位置づけです。

2025年成立・2026年施行の改正 委託構造そのものに切り込む内容

続いて2025年6月11日に公布されたのが、貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律です。こちらは令和8年、つまり2026年4月1日から一部の規定が施行されるスケジュールで進んでいます。運送契約の書面交付義務の対象を利用運送事業者にまで広げる点や、違法な白トラの利用にかかる荷主等への規制強化、委託次数の制限といった、多重下請け構造そのものに踏み込む内容が特徴です。

加えて、事業許可を終身制から5年ごとの更新制へ移行する案や、無許可業者への委託を禁じたうえで荷主にも罰則を科す案など、公布から3年以内の施行を見込んで検討が続いている項目もあります。国土交通省の公式ページでは、これらの施行内容やQ&Aがまとめられているため、実務担当者は一次情報として確認しておくと安心です(国土交通省「トラック適正化二法について」)。

2026年4月施行の重要な変更点を具体的に見る

ここからは、実際に2026年4月から動き出す規定を中心に、運送会社と荷主企業のどちらに関係するのかを分けて整理します。制度の名称だけを覚えても実務には落とし込みにくいため、誰が何をいつまでに用意すべきかという視点でまとめました。

運送契約の書面交付義務が利用運送事業者にも拡大

これまで書面交付義務は主に実運送を担う事業者を対象としていましたが、改正後は元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者にも準用されます。荷主から直接仕事を請け、実際の輸送は協力会社に委託するという構造を取っている元請会社は、これまで以上に契約条件を書面化する責任を負うことになります。

口頭や慣習で進めてきた委託契約を、運賃・附帯業務の内容・料金の内訳まで明示した書面に切り替える作業は、想像以上に手間がかかります。荷主側からすれば取引先の運送会社がこの対応をきちんと進めているかどうかは、今後のパートナー選定における判断材料のひとつになっていくはずです。

実運送体制管理簿の作成義務と下請構造の可視化

実運送体制管理簿とは、荷物が最終的にどの運送会社によって運ばれているかを、元請から実運送事業者までの経路がわかる形で記録した帳簿を指します。5次請け、6次請けといった深い下請構造が常態化している業界において、この帳簿の整備は「誰が実際に運んでいるか」を可視化する仕組みとして機能します。

荷主企業にとっても、自社の荷物を最終的に運んでいるのがどのような事業者なのかを把握できるようになる点は、コンプライアンス上の意味合いが大きいといえます。

白ナンバートラック利用への規制強化と荷主側の責任

営業ナンバー(緑ナンバー)を持たない白ナンバートラックを運送業務に違法に利用させるケースへの規制も強化されます。改正後は、こうした違法な白トラ利用が確認された場合、依頼した荷主等も処罰の対象に含まれる可能性がある点が大きな変化です。運賃を安く抑えたいという理由で無許可事業者に発注してしまうと、荷主自身が責任を問われるリスクが生じるため、発注先の許可状況を確認する体制づくりが欠かせません。

委託次数の制限が現場の商習慣に与える影響

今回の改正でとりわけ現場への影響が大きいと見られているのが、委託次数を制限する動きです。多重下請け構造そのものにメスを入れる内容であり、既存の商習慣を見直すきっかけになる企業も少なくないでしょう。

2次請け以内に抑える努力義務がもたらす構造変化

改正の方向性としては、委託を2次請け以内に抑えることが努力義務として求められています。強制力を伴う罰則付きの義務ではなく努力義務である点には注意が必要ですが、行政としての姿勢が明確に示された意味は小さくありません。中間マージンが積み重なるほど、実際にハンドルを握るドライバーの手元に残る運賃は目減りしていきます。委託次数を絞る動きは、この構造を是正しようという狙いから来ています。

3次請け、4次請けが当たり前になっていた発注元にとっては、協力会社の選定基準や契約フローそのものを見直す必要が出てくるはずです。特に繁忙期だけ多段階の外部委託でしのいできた企業ほど、今のうちから委託構造を棚卸ししておく価値があります。

運送会社が契約体系を見直す際に押さえたいポイント

委託次数の制限を見据えて運送会社が取り組むべきことは、大きく分けて二つあります。ひとつは自社が何次請けの立場にあるのかを正確に把握することです。もうひとつは、荷主や元請企業と直接つながる経路を増やし、下請階層を浅くする努力を進めることです。

  • 自社の受注案件ごとに委託階層を書き出し、次数を可視化する
  • 書面契約への切り替えが済んでいない取引先を洗い出す
  • 荷主との直接契約に対応できる体制(見積り・実績提示など)を整える

下請け構造の是正は、見方を変えれば荷主と直接つながる運送会社にとって商機にもなり得ます。実際、荷主から直接連絡をもらえるようになったことで交渉の余地が広がったという運送会社の声も出てきています。

事業許可の更新制移行と荷主側に求められる新たな責任

委託構造の見直しと並んで注目されているのが、事業許可のあり方そのものに関わる変更です。これまで一度取得すれば実質的に終身有効だった許可制度に、更新という概念が持ち込まれようとしています。

終身制から5年ごとの更新制へ

検討が進んでいる案では、貨物自動車運送事業の許可を5年ごとに更新する制度へ移行するとされています。これまでは許可を取得した後、事業実態が乏しくなっても看板だけが残り続けるケースが指摘されてきました。更新制が導入されれば、実際に事業を継続している事業者だけが許可を維持できる仕組みに近づくことになります。

運送会社としては、更新のタイミングで求められる書類や実績の整理を、日頃の業務の中であらかじめ準備しておくことが望ましいでしょう。

荷主が問われる新たな責任と発注先確認の重要性

無許可の事業者へ委託した場合、委託した荷主側にも罰則が及ぶ可能性がある点は、荷主企業にとって見過ごせない変化です。これまで運送会社選びを価格だけで判断してきた企業ほど、発注先が正規の許可を持つ事業者かどうか、委託構造がどうなっているかを確認する手間を惜しめなくなります。

荷主企業が運送会社の実態を把握しづらいという課題は、今回の改正が動き出す以前から指摘されてきたことでもあります。中間マージンで運賃が積み上がっている構造や、誰が実際に荷物を運んでいるのかが見えないという不透明さは、法改正を機に是正が急がれる部分といえるでしょう。

運送会社が実務でつまずきやすいポイント

制度の内容を理解していても、実際の運用段階でつまずく企業は少なくありません。ここでは、書面化と委託構造の整理という二つの場面でよく起こる課題を取り上げます。

書面化の運用が形だけになってしまうケース

書面交付義務が拡大されると聞くと、契約書のひな形さえ用意すれば対応完了と考えてしまいがちです。しかし実務上は、料金や附帯業務の内訳を毎回正確に記載し続けられるかどうかが問われます。繁忙期に口頭でのやり取りが先行し、書面が後追いで形式的に作成されるだけの状態になっては、本来の目的である取引条件の明確化が果たされません。

書面化を機能させるには、見積り段階から料金内訳をシステムやテンプレートで管理し、案件ごとに漏れなく発行できる体制を整えておくことが現実的な対策になります。

委託構造の可視化に必要な社内体制

実運送体制管理簿の作成には、自社の受注案件がどの協力会社を経由して最終的に運ばれているのかという情報の積み上げが欠かせません。案件ごとに委託先が変わる中小規模の運送会社ほど、この情報を都度手作業で追いかけるのは負担が大きくなります。

委託先との連絡や実績の記録を一元管理できるフォーマットをあらかじめ用意しておくと、施行後の対応をスムーズに進めやすくなります。

直接契約という選択肢が見直されている

ここまで見てきたように、今回の一連の改正は多重下請け構造そのものに一石を投じる内容です。委託次数を絞る流れや書面化の義務拡大は、結果として荷主と運送会社が直接つながる契約形態の価値を高めていく可能性があります。

運送会社検索サイト「ハコプロ」は、こうした業界課題を背景に、荷主企業と運送会社の直接契約を後押しするサービスとして展開されています。株式会社LIGOが運営し、掲載運送会社数は約6万件、営業所数は約8.5万件にのぼるデータベースを持ち、運送会社は掲載料・登録料ともに無料で利用できます。エリアや車両形状、輸送品目から運送会社を検索できるほか、ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを紹介する「ドライバー名鑑」機能によって、荷主企業が「誰が荷物を運ぶのか」を確認したうえで発注先を選べる点が特徴です。

実際に、荷主から直接連絡を受けたことで一次請けとして交渉できる立場になったという運送会社の声や、北海道の荷主企業が苫小牧港から農協への肥料輸送で釧路市の運送会社とマッチングした事例なども報告されています。中間マージンの負担に気づいたという荷主企業の声もあり、直接契約への関心は今後さらに高まっていくと見られます。

今回のトラック法改正への対応を機に、委託構造や取引先選びを見直したいと考えている運送会社・荷主企業の方は、ハコプロへの相談から検討を始めてみてはいかがでしょうか。

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