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【トラック事業者必見】運送業の働き方改革とは?その意義や実践例を詳しく解説!

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2018年に働き方関連法が成立すると、2019年4月の施行に向けて、世の中では、さまざまな業界や職種において適正な働き方を模索する動きが活発化しました。

しかし、運送業においては、その業務や社会的役割、永年の複雑な業界事情により、働き方改革関連法において例外的措置が取られてきました。

それは具体的にどのようなことなのでしょうか。

この点を正確に知ろうと思えば、運送業界で話題となっている2024年問題についても踏み込んで理解する必要があります。

そこで本記事では、運送業における働き方改革について詳しく解説します。同業界における働き方改革の意義や実践例についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

運送業の働き方改革

早速、運送業の働き方改革について解説しましょう。

流れとしては、まず一般的な働き方改革について概要を、その後、運送業における働き方改革、および働き方改革関連法について説明していきます。

働き方改革とは 

我が国の総人口は、未曾有の少子高齢化によって2008年をピークに、2011年以降12年連続で減少しています。そしてこの間、他の先進国と比べても突出した過密労働に起因した過労死や非効率な労働形態、男女の雇用待遇格差、多様性への無理解など、日本特有の労働環境におけるマイナス部分が強く問題視されるようになりました。

政府は、これらの多面的な問題を将来に向けて明るい方向へと改善するべく、「一億総活躍社会」という、今後少子高齢化が進んでも1億人の人口を維持し、職場・地域・家庭においてだれもが活躍できる社会を提唱しました。この流れで脚光を浴びたのが、「働き方改革」です。

その趣旨は、以下の6項目を解消することにあります。

  1. 少子高齢化による労働人口の減少
  2. 低い労働生産性
  3. 長時間労働
  4. 有給取得率の低迷
  5. 多様化するライフステージに不適合な働き方
  6. 性別や雇用形態の違いによる待遇の格差
  7. ダイバーシティ(多様性)への許容の低さ

上記の深刻かつ先送りの許されない諸問題を軽減および解決に向けるために「働き方改革関連法」が2018年(平成30年)に成立、翌2019年4月から施行されました。

正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」といいます。

この「関係法律」とは、

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働契約法
  • 労働派遣法

などを指します。

中でもとくに本記事で注目するのは、労働基準法における時間外労働の規制についてです。

法律として明文化したのは、「働き方改革」を単なる一過性の動きとせず、永続的な国民運動として根付かせるために他なりません。

働き方改革が実現すれば、だれもが個々の事情に合わせて多様で柔軟な働き方を選択できるようになるのです。

            

運送業における働き方改革 

働き方改革と一言に言っても、業界や職種によってその働き方は実に多岐にわたるため、一様に推進できるものではありません。

とりわけ運送業については、他の業界と比べて特殊性が顕著で、主たる働き手であるトラックドライバーの働き方を持続可能性の高いホスピタリティに富んだものに改善するのは、容易なことではありません。

というのも、国土交通省の調査では、2019年(令和2年)の年間における全業種の平均労働時間が2,100時間に対し、中小型トラックドライバーは2,484時間、大型トラックドライバーにいたっては2,532時間となっています。

つまり、トラックドライバーは全産業の平均より1.2倍も長く働いている計算になります。

世間では、トラックドライバーの3Kとして「きつい、帰れない(or給料が安い)、危険」と言われており、これほど拘束時間が長ければ、新たにドライバーを希望する若者の数が目減りしていくことが懸念されます。

現に、上記の国土交通省の調査では、29歳までの就労者の割合が、全産業が16.3%であるのに対し、道路貨物運送業のそれはわずか9.1%にしか過ぎません。

逆に40〜54歳までの就労者の割合は、全産業が34.7%に対して、道路貨物運送業は45.2%とはるかに高い数値をマークしています。この状況が続けば、将来的にトラックドライバーには超高齢化の波が押し寄せ、若者の数はさらに減少していくものと予想されます。

加えてトラックドライバーの平均賃金は全産業に比べて下回っているため、運送業こそ働き方改革がもっとも必要な業界の一つといえるのです。

ところが、運送業においてはその働き方改革が他の業界に比べてすんなりと進みにくい複雑な事情が存在します。

先ほどトラックドライバーの労働時間が全産業の平均より1.2倍長いと述べました。その背景には、単に運転をして移動する時間が長いだけでなく、荷主起因の荷待ち時間や付帯作業にかかる時間が思いのほか長いという問題があり、この視点を見逃しては運送業における働き方改革の本質が見えてきません。

同調査では、2019年の1運行あたりの平均荷待ち時間が1時間34分となっており、2〜3時間が7.9%、3時間以上が9.8%という高い割合を占めています。中には、10時間以上待たされるケースも存在します。

その原因は、運賃の低止まりが続いた結果、運送事業者としては売り上げを確保するために多くの依頼を受けざるを得ない点が挙げられます。また、

     貨物輸送以外に契約にない付帯作業を半ば強要している荷主が極めて多く存在する点も見逃せません。

加えて、国土交通省の調査によると、運送業界におけるトラック分担率は約9割強と、航空や鉄道、海運に比べると突出して高い数値となっています。

つまり世の中の製品や部品、資材、エネルギーといった貨物の9割以上は、トラックドライバーの手によって運ばれているわけです。

考えてみると、いくら飛行機や船で貨物が届いても、空港や港からエンドユーザーに配送するのは、ほぼ全てがトラックですから分担率が高いのは当然といえるでしょう。

したがって、仮にトラックドライバーの人数や労働時間が減少すると、たちまち輸送力不足が発生し、あらゆる企業や個人が運びたいモノが運べない、調達したいモノが調達できないという極めて深刻な事態に陥りかねません。ここに運送業において働き方改革がスムーズに進みにくい理由があるのです。

上記の複雑な事情を汲み、働き方改革関連法では、時間外労働の上限が原則として「月45時間・年360時間」と決められ、2019年4月1日から施行、中小企業は例外措置として2020年4月1日から施行されましたが、トラックドライバーについては、超法規的措置で2024年4月と全体に対して5年間も適用が延期されました。しかも時間外労働の上限は年間960時間と、原則の約2.7倍近くの長さまで認められることになったのです。

ちなみに労働基準法では、1日の法定労働時間は8時間、1週間では40時間と規定されています。上記の時間外労働は、これらにプラスして働く時間を意味します。

また、労働基準法36条に基づく協定(通称36(サブロク)協定)を結べば、労働時間の延長が許されますが、それには上限があり、上記の「月45時間・年360時間」がそれにあたります。労使が特別条項に合意した場合は年720時間まで延長できます。

これを見ても、トラックドライバーの960時間がいかに長いかがわかるでしょう。

では、これによってトラックドライバーの労働時間が短縮されたから、すべてが丸く治まるかというと、まったくそうではありません。

この働き方改革関連法が施行されることにより、運送業界には新たに「2024年問題」が巻き起ころうとしているのです。

「2024年問題」とは、トラックドライバーの時間外労働が規制されることにより、輸送力不足が発生するため、あらゆる場面で、必要な貨物が希望通りの日時に届かないとか、発送そのものができないといった物流危機。それに起因するトラックドライバーの収入減、トラック事業者の収益減、それに伴うトラックドライバーの大量離職やトラック事業者の倒産リスクといった負の連鎖を指します。

つまりトラックドライバーの長時間労働を改善するためになされた法整備が、まったく違った形でトラックドライバーやトラック事業者を苦しめるという皮肉な結果を招こうとしているわけです。もちろん問題はそこにとどまらず、荷主企業や一般消費者にまで甚大な影響を及ぼすと予想されます。

この流れを見越して、国やトラック事業者を中心に2024年問題を回避するためのあらゆる対策がなされています。

つまり運送業における働き方改革は、法整備から生じる2024年問題への対策とセットで行われてこそ真の意味があるという複雑なメカニズムが存在することを理解しておく必要があるでしょう。

 

働き方改革関連法 

ここで働き方改革関連法について、もう少し踏み込んで解説しましょう。

働き方改革関連法は、大きく3つの柱から構成されています。

一つ目は、すでに説明した「時間外労働の上限規制」です。そして残りの二つが、「年次有給休暇の時季指定」と「同一労働同一賃金」になります。

この二つに関しては、時間外労働の上限規制とは異なり、すでに他業界と同時期に運送業においても施行されています。

「年次有給休暇の時季指定」とは、付与される年次有給休暇が10日以上の労働者を対象に、付与された有給休暇のうち5日分については必ず消化しなければならないというものです。これは、例えば過密労働を良しとする上司に気を使うあまり権利があるにもかかわらず有給をまともに消化できないというケースが散見された事態を打開するための対策といえます。

なお、労働者が自分から年次有給休暇を所得したり、会社が計画的に付与したりした日数は、上記の5日から控除することができます。

ちなみに、年次有給休暇の付与には、雇用してから6ヶ月以上継続勤務していることと、全所定労働日の8割の出勤が必要になります。

パートでも週4日勤務なら勤続3年6ヶ月以上、週3日勤務なら勤続5年6ヶ月以上で年次有給休暇の付与日数が10日以上となります。

「同一労働同一賃金」とは、正社員であろうとパートタイム労働者や有期雇用労働者や派遣労働者といった非正規労働者であろうと、企業や団体内において同一の仕事をしていれば、同一の賃金を支給するというものです。

これは、業界を問わずさまざまな企業で、非正規社員が正社員と同じ業務をこなしているにもかかわらず、賞与や特別手当などがもらえなかったり、昇給させてもらえなかったりといった差別的待遇を受けていた状況を改善する目的で制定されたものです。

待遇格差は、上記以外でも福利厚生や有給休暇、出産・育児休暇、教育制度や退職金に至るまで実に広範囲にわたります。

働き方改革関連法の定めによって、上記のような不合理な待遇差が禁止され、もし待遇さがある場合は事業主にその理由について説明を求められるようになりました。加えて、同一労働同一賃金は、違反したからといって今のところ罰則規定はありません。

しかし、労働者は行政による事業主への助言や指導などを求めることができたり、裁判外紛争解決手続き(行政ADR)を行ったりすることができます。行政ADRとは、裁判を経ずに行政が取り仕切ることにより当事者同士で解決を図るというもので、和解金を支払うのが一般的です。

2024年問題によって、時間外労働の上限規制ばかりが注目されがちですが、残りの「年次有給休暇の時季指定」と「同一労働同一賃金」も、運送業界では軽視できない大切な項目になります。したがって、運送会社は時間外労働の管理と並行してこれらの対策を怠らないようにすることが重要です。

運送業での働き方改革の意義

2024年問題が表面化してくると、労働時間は短縮されても、元々他業種に比べて安価な賃金がさらに低迷し、生活の困窮や将来不安がトラックドライバーを襲うリスクが高まります。

これではトラックドライバーの離職が広がるばかりか、若者のトラックドライバー離れがさらに深刻化すると予想されます。

そこで、運送業では1日も早く働き方改革に踏み切る必要があるでしょう。

給与や有給休暇、福利厚生、清潔な職場環境といった改善がなされることにより、女性や高齢者も含んだ多様なライフステージや価値観を有するドライバーが働きやすい運送会社になれば、世間の運送業に対するイメージを好転させることができるはずです。

加えて管理職クラスの人材を惹きつけることができると、社のガバナンスが進み、運送会社としての競争力が向上、利益もアップするという好循環が生まれます。

資金に余裕ができれば、さらに設備投資や人件費を増額できるため、益々良い人材を増やせるという成長サイクルが確立できるでしょう。

つまり運送業における働き方改革は、自社の持続可能性を高め、社員のワークライフバランスを充実させ、ひいては荷主企業や一般消費者の利益にも貢献できる非常に意義深いミッションといえるのです。

運送業での働き方改革の実践例

 ここでは、運送業において実際に働き方改革がどのように進められているのかの実践例を紹介しましょう。

国土交通省の調べでは、国内トラック運送業者の99.9%が中小企業です。つまり中小企業で働き方改革が本格化しなければ、物流業界における働き方改革の真の意味での成功はあり得ないと断言できます。

そこで本稿では、積極的に働き方改革に取り組んでいる中小企業の例を5つご紹介します。

いずれも厚生労働省が公表している「働き方改革 特設サイト CASE STUDY 中小企業の取り組み事例」を参照・引用したものになります。

中小企業での取り組み事例

菱木運送株式会社〜『乗務員時計』の導入で労働時間削減と事故率の大幅減少に成功!

千葉県八掛市の菱木運送株式会社では、10年以上の歳月をかけて『乗務員時計』を自主開発し、すでに導入しています。

『乗務員時計』とは、スマホアプリから法令に準じた連続運転可能時間や必要な停止時間、拘束時間などがカウントダウン式で確認できるツールです。

上記のような時間はドライバー自身が自主的に時計を見ながら計算するのが一般的で、それでは計算間違いが起き、法令を正確に遵守できないケースが珍しくありません。

その点、乗務員時計があれば、残り時間がどれだけあるかが分刻みで把握できるうえ、警告も出るので、ドライバーの利便性は飛躍的に高まります。

現に導入後、事故発生率が大幅に減少し、自動車保険の割引率は最高75%を5年連続で継続中という成果が出ています。

奈良県合同陸運株式会社〜1か月単位の変形労働時間制と勤怠管理システムの導入で働きやすさが増加!〜

奈良県桜井市の奈良合同陸運株式会社では、国土交通省の『働きやすい職場認証制度』に参加することによりヒントを得て、職場改善のため「奈良働き方改革推進支援センター」に相談。そこから派遣された社会保険労務士のアドバイスにより勤怠管理システムを新たに導入しました。

「運行管理」と「労働時間の管理」を別にし、手待ち時間と休憩時間の区分をはっきりすることができました。労働時間を把握できるようになったため、時間外労働規制への対応準備も完了しています。

加えて給与システムも連携することにより、労働時間の手計算やデータ入力の手間が省け、誤入力がなくなり、業務効率が大幅に改善。

また1年単位の変形労働時間制を1か月単位に改めることにより、それまでには不可能だった30日以上前にシフトを確定できるようになって、1年を通じての繁閑を意識しなくて済むようになりました。

さらに年次有給休暇を入社時から付与、6か月を待たずに取得できる体制を導入。有給休暇を取りやすい環境作りにも取り組みました。

新雪運輸株式会社〜業務のデジタル化で時間外労働削減に成功!〜

埼玉県川口市の新雪運輸株式会社では、トラックドライバーの長時間労働による事故の増加や健康不安を問題視していました。

そこで全トラックにセーフティーレコーダー(SD)を搭載。運転中の映像や車両速度、走行時間と走行距離の自動記録を実現し、長時間労働の要因が長すぎる荷待ち時間にあると気づきます。

荷主に詳細なデータを見せながら荷待ち時間短縮の協力を要請、同時に配送ルートの見直しも行い、時間外労働削減に繋げることができました。

運行日報の自動化、給与計算のデジタル化、ロボット点呼によるアルコール濃度のチェックなどによる業務効率化にも成功。

向上委員会を設置して、職場の問題点について話し合える環境作りを演出し、従業員や家族との交流イベントにも注力、ホスピタリティと持続可能性向上に成果をあげています。

    

山形運送株式会社〜健康経営の推進で社員の健康をサポート!〜

山形県山形市の山形運送株式会社では、かねてから従業員の健康維持の大切さに注目し、社長のトップダウンで次々と社内に健康経営施策を導入してきました。

・印字タイプのアーム式血圧計・AEDの設置

・熱中症予防のため、通気孔付きで熱吸収の少ないホワイトヘルメットとエアリージャケットの支給

・疲労軽減目的でハイバックタイプのチェアーや腰痛防止の腰部骨ベルトの支給

・定期健康診断の実施・ドライバー対象にトラック協会の助成金制度を利用したMRIによる脳検診

・禁煙運動により12年間で喫煙率60%→45%に減少

・全社員にスマートウォッチを配布して「健康ウォーキング」を実施。歩数が多い社員に褒賞金も授与

・運転日報や基幹業務のオリジナル入力システムにより時間外労働の削減に成功

・本社に事務センターを設置し、デジタルを使って業務が一部のスタッフに偏らないように改革

・年間休日の増加策により2005年には89日だったものが110日まで増加

・年次有給休暇取得率も2015年の6.6日から2020年に14.8日まで増加

など。

これらの多面的な取り組みが評価され、経済産業省の「健康経営優良法人」に4年連続で認定、2021年新設の中小企業法人上位500社にあたる「プライド500」にも認定されています。

群馬小型運送株式会社〜社員に寄り添うハートフル経営で若手や女性活躍を実現〜

群馬県高崎市の群馬小型運送株式会社は、社長自らが業界に蔓延しているドライバー不足と高齢化を危惧し、高卒や大卒の雇用に積極的に取り組んでいます。

ただ、職場環境に魅力がなければ若者も女性も集まりません。

そこで取り組んだのが、以下のような社員に寄り添うハートフルな施策です。

・スマホアプリによるスケジュール管理でスケジュールをオープン化することで年次有給休暇を取得しやすくする(子育て世代が学校行事に参加しやすくなる)。

・残業の事前申告制の導入で時間外労働の削減。

・定年の60歳から65歳への延長。

・ドライバーの安全確保のため、デジタルタコグラフ・ドライブレコーダーの全車両装備。

・ドライバーへの配車指示や情報共有はビジネスチャットに切り替え。

・明るさや清潔感、着心地を意識したユニフォームに一新。

・女性専用のパウダールームの設置。

・女性専用の営業車。

・1品100円で業者から届く惣菜が自由に買える「ぷち食堂」の設置。

・予防接種の費用補助や禁煙サポートプログラムの策定。

    

荷主と運送業者のためのトラック運転者労働時間削減に向けた改善ハンドブック

厚生労働省は、運送業者と荷主に向けて「トラック運転者労働時間削減に向けた改善ハンドブック」を公表しています。

5つのチャプターに分けて、トラックドライバーの労働時間削減の手順やヒントをわかりやすく解説しているのが特徴です。

本稿では、5番目のチャプターに記載されている改善事例集から代表的なものを3つご紹介します。

モーダルシフトで労働時間短縮を実現

香川県内で地場輸送と幹線輸送を実施している貨物運送事業者のモーダルシフトの事例です。

発荷主は住宅の窓枠などを製造するメーカーで、香川県内の事業所から荷主の九州デポまでの輸送において、従来は一人のドライバーが2泊3日かけて運行をしていました。

しかし、その拘束時間の長さが負担となっており、その削減が課題でした。

そこで、同社はトラックの代わりに一部フェリーを活用することによって無人航送にモーダルシフトすることを決断。

ドライバーを2人に増やし、ドライバーが香川県内事業所から八幡浜港まで輸送した貨物をフェリーに積み、臼杵港まで無人航送によって輸送、臼杵港から別のドライバーが九州デポまで輸送します。

九州デポから香川県内事業所まで貨物を輸送する時には、上記のまったく逆のプロセスを踏みます。

これにより、2泊3日かかった1回の運行が日帰りで済むようになり、労働時間も30時間15分から1人あたり12.5時間に短縮、2人合わせても25時間と、5時間15分の短縮に成功しました。

中継輸送で拘束時間短縮を実現

福岡県にある貨物運送事業者A社と埼玉県の貨物運送事業者B社は、福岡と関東間の長距離輸送によるドライバーの拘束時間の長さを削減することが課題でした。

そこで、大阪にあるA社のなにわ営業所を中継地点にして、そこに福岡と関東から、それぞれ自社のトラックを向かわせて、ドライバーが乗り換える方法に変更しました。

両社のドライバーは、なにわ営業所に到着すると休息を取得、相手のドライバーがそのまま運転を引き継いで、それぞれ福岡と関東に輸送するという具合です。

休息を終えたドライバーは、相手が戻ってきたらそのトラックに乗ってそれぞれ福岡と関東に帰ります。

これにより最大で16時間もあった拘束時間が、すべて13時間以内に削減されました。

事前のバース予約システムで手待ち時間を大幅短縮

神奈川県の元請運送事業者A社とその下請け運送業者B社は、エネルギー関連メーカーの貨物を樹脂メーカーに届ける業務における待ち時間の長期化を削減することが課題でした。

とくに朝一番に発荷主であるエネルギーメーカー倉庫での積み込み順の待ち時間が、着荷主では引取り車両が優先されるため、そこでも輸送後でも待ち時間が発生するケースがありました。

そこでとくに発荷主の協力を得て、積み込み時間の指定に加え、トラック予約受付システム(バース予約システム)を導入しました。

これによりドライバーの待ち時間は平均51分から29分に短縮され、1日22分、10日間で3.7時間もの削減に成功しました。

以上3つの事例から言えることは、運送業者単独でドライバーの労働時間を大幅に削減することは極めて難しいということです。

運送事業者間で強みを活かしあって協力したり、荷主に実情を説明し、荷待ち時間短縮に賛同してもらったりすることが欠かせないでしょう。

したがって運送業者としては、時間外労働削減の適切な方法を見出すと同時に、その実現に向けてともに取り組んでくれる事業者の開拓を忘れてはなりません。

ホワイト物流への参画

国土交通省が経済産業省や農林水産省と連携して「ホワイト物流推進運動」 という動きを積極的に展開しています。

ホワイト物流運動とは、トラック事業者の生産性向上と物流の効率化をはかり、トラックドライバーが安心して働けるホワイトな労働環境を整えるための取り組みです。

現在賛同企業は1,973社にのぼります(令和5年12月31日現在)。

賛同表明するには、専用サイトから「自主行動宣言様式フォーマット」をダウンロードして自主行動宣言を作成のうえ、事務局に提出する決まりになっています。

中でもとくに運送事業者は、この運動参画する上で、以下のような取り組みが求められています。

  1. 元請の物流事業者や運送を委託される事業者は、下請け取引の適正化を推進する。
  2. 委託先運送会社の運送業務につき、荷待ち時間の長さや、荷物の積み込み、荷下ろし時の負担など状況を適宜確認し、必要に応じて改善策を協議する。
  3. 荷主企業の物流業務の内容を踏まえ、物流の生産性の向上、物流業務の無駄や非効率の解消に向け、積極的に検討・提案を行う。
  4. 荷待ち時間の長さや、荷物の積み込み、荷下ろし時の負担など、非効率な点があれば、荷主企業などに改善の申し入れや提案を検討する。
  5. トラックドライバーの確保・定着化のため、労働条件や労働環境の改善を推進する。
  6. 荷待ち時間や荷役時間の改善を行うなど、トラックドライバーの就業時間の短縮や休日の増加に向けた取り組みを行う。

冒頭でも述べたように、トラック事業者のホワイトな労働環境を確保するには、深くつながりのある荷主企業の理解と協力が欠かせません。

しかし、業界にはびこる長年の慣習により、荷主の優位性は頑強なため、トラック事業者が改善を要求したところで相手にされないという関係性が常態化していました。

しかし、2024年問題を目前に、ホワイト物流推進運動という形で国の後ろ盾を得たことにより、いよいよ本格的な改革が明確なムーブメントになっていくと期待できます。

トラック事業者の皆様には、今後の事業の発展のためにも、この動きを逃さずに来たる大きな変化を乗り越えていくことが求められるでしょう。

まとめ

2024年4月1日より、いよいよ2024年問題が本格的に表面化してきます。

したがって、運送会社の皆様は、その解決に向けて真剣に働き方改革に取り組む必要があります。トラックドライバーの負担を減らし、働きやすい労働環境を確保することは決して生やさしいことではないでしょう。

しかし、今後の確実な発展と成長のためには、持続可能性を高めて選ばれる運送会社になる努力が欠かせません。LIGOでは、ハコプロにより、ホワイトで優良な働き方改革を推進している運送会社を積極的に紹介してまいります。

働き方改革に挑む運送会社の採用支援を行い、運送会社や荷主向けに有用な情報を提供していくことにより、運送業の働き方改革を全力でサポート、運送会社もドライバーも荷主の皆様もそれぞれに活躍しやすい世界を目指します。

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