ラストワンマイルということばを耳にする機会が増えました。ネット通販の普及にともない宅配便の取扱件数は年々増加しており、荷物が届く最後の区間、つまりラストワンマイルの効率化が物流業界全体の課題として重みを増しています。再配達の負担やドライバー不足といった現場の悩みは、突き詰めるとこのラストワンマイルにたどり着くことが少なくありません。運送会社や荷主企業の担当者であれば、この課題とどう向き合うかが今後の事業運営を左右するといっても過言ではないでしょう。
ラストワンマイルとは何を指す物流用語か
ラストワンマイルとは、商品が物流拠点や配送センターを出てから、実際に消費者の手元に届くまでの最後の区間を指すことばです。もともとは通信業界で使われていた概念で、基地局から利用者宅までの接続区間を意味していました。物流の文脈に転用されてからは、宅配便やネット通販の配送における最終区間を表す用語として広く定着しています。
配送における「最後の区間」を指す言葉
物流全体のプロセスは、工場や倉庫から拠点への幹線輸送、拠点間の中継輸送、そして拠点から消費者宅までの配送という段階に分かれます。このうち最後の段階がラストワンマイルにあたります。区間としての距離は短いにもかかわらず、一軒ずつ異なる住所へ荷物を届ける必要があるため、他の輸送区間と比べて手間とコストがかかりやすい性質を持っています。
混同されやすい「ラストマイル」との違い
ラストワンマイルは「ラストマイル」と呼ばれることも多く、実務上はほぼ同じ意味で使われています。英語表現としては last mile や last one mile のいずれも使われており、どちらも配送の最終区間を指す点は共通しています。呼び方の違いにこだわるよりも、最終区間の効率化という本質的な課題に目を向けることが実務では重要になります。
ラストワンマイル問題が物流業界で注目される背景
ラストワンマイルが単なる物流用語にとどまらず、業界全体の課題として語られるようになった背景には、市場環境と人材の両面から複数の要因が重なっています。
EC市場拡大と配送件数の急増
ネット通販の利用が生活に定着したことで、宅配便の取扱個数は右肩上がりに推移してきました。1個あたりの荷物は小さくなる一方、届け先の件数そのものが増えているため、ドライバー1人あたりが訪問する件数も増加しています。少量多頻度の配送が当たり前になったことで、ラストワンマイルにかかる負担は以前より重くなっているのが実情です。
ドライバー不足と再配達の負担
物流業界ではドライバーの高齢化と人手不足が同時に進んでおり、2030年には約25万人、2040年には約100万人規模の人材不足が見込まれるとの指摘もあります。限られた人数で増え続ける荷物をさばく必要がある中、不在による再配達が発生すると、その分ドライバーの走行距離と時間がそのまま上乗せされてしまいます。再配達は消費者にとって便利な仕組みである一方、現場の負担を押し上げる要因のひとつになっています。
多重下請け構造によるコスト圧迫
運送業界では荷主から仕事を受けた元請けが下請けへ、さらに孫請けへと業務を再委託する多重下請け構造が根強く残っています。2次請け、3次請けを経るごとに中間マージンが発生するため、実際に荷物を運ぶ運送会社の手元に残る運賃は目減りしがちです。ラストワンマイルを担う現場が薄利のまま走らされる構造は、業界の持続性そのものに関わる問題として捉える必要があります。
ラストワンマイル配送で発生しやすい課題
ラストワンマイルの現場では、距離の短さからは想像しにくいほど細かな課題が積み重なっています。
再配達によるコストと時間のロス
再配達は物流業界の非効率要因として、行政の調査でもたびたび指摘されてきました。一度で受け取ってもらえなかった荷物は、拠点に持ち帰った上で再度配送ルートに組み込む必要があり、燃料費や人件費が二重にかかることになります。置き配や宅配ボックスの普及が進んでいるとはいえ、対面での受け取りを希望する荷物も一定数残っており、再配達そのものをゼロにすることは簡単ではありません。
都市部と地方で異なる配送効率の壁
都市部では届け先が密集している分、駐車スペースの確保や渋滞への対応がドライバーの負担になります。一方、地方では届け先同士の距離が離れているため、1件あたりの移動時間が長くなりやすく、荷物量が少なくても効率が上がりにくい傾向があります。ラストワンマイルの課題は全国一律ではなく、地域特性に応じた対策が求められる点も見落とせません。
運送会社の採算確保の難しさ
荷物1個あたりの運賃が低く抑えられがちな一方、ドライバーの人件費や燃料費は上昇傾向にあります。特に多重下請け構造の下請け以降で業務を受けている運送会社にとっては、ラストワンマイルを担いながら適正な利益を確保すること自体が経営課題になっているケースも少なくありません。
ラストワンマイル問題を解決するための取り組み
こうした課題に対して、業界内ではさまざまな取り組みが進められてきました。方向性は大きく3つに分けられます。
置き配・宅配ボックスの普及
不在による再配達を減らす手段として、置き配や宅配ボックスの利用は着実に広がっています。玄関先や指定場所への配置を許可するだけで再配達の発生を抑えられるため、消費者・運送会社の双方にとって負担軽減につながる仕組みです。ただし荷物の紛失リスクや、対面受け取りを希望する層への配慮も必要であり、選択肢のひとつとして位置づけることが現実的です。
共同配送・拠点集約による効率化
同じエリアに配送する複数の荷主・運送会社が拠点や車両を共有する共同配送も、ラストワンマイルの効率化策として注目されています。1台のトラックが複数社の荷物をまとめて配送することで、走行距離とドライバーの稼働時間を圧縮できる可能性があります。取り組みには荷主・運送会社間の調整が欠かせず、単独の企業努力だけでは実現しにくい面もあります。
AIやシステムを活用した配送ルートの最適化
配送ルートを自動で組み立てるシステムやAIを活用し、訪問順序や積載効率を最適化する動きも広がっています。人の経験と勘に頼っていたルート設計をデータに基づいて見直すことで、無駄な走行を減らせる可能性があります。あわせて、荷主企業と運送会社が直接つながり、需要と供給の情報をタイムリーに共有できる仕組みも、ラストワンマイルの効率化を後押しする要素になります。
運送会社が荷主と直接つながることで生まれる変化
ラストワンマイルの負担を軽くしていくうえで、多重下請け構造そのものを見直す動きも進んでいます。荷主と運送会社が直接つながる仕組みは、その代表例のひとつです。
中間マージンの削減と適正運賃の確保
2次請け、3次請けを経由せず荷主と直接契約できれば、間に入る事業者へのマージンが発生しない分、運送会社の手元に残る運賃を確保しやすくなります。北海道の運送会社みどり運輸の高村社長は、荷主との直接契約について「一次請けになれば、交渉もできる」と話しており、直接契約が価格面での交渉力にもつながることをうかがわせます。
直接契約による情報共有のしやすさ
荷主と運送会社が直接つながることで、配送条件や荷物の特性についての情報が伝わりやすくなる点もメリットです。実際に、北海道のある荷主企業が苫小牧港から農協への肥料輸送を必要とした際、釧路市の運送会社みどり運輸との直接マッチングが実現した事例もあります。中間に入る事業者が減ることで、荷主側にとっても誰が荷物を運ぶのかが見えやすくなるといえます。
ラストワンマイルの負担を軽くする第一歩に「ハコプロ」という選択肢
ラストワンマイルの課題を運送会社単独で解決するのは容易ではありませんが、荷主との直接契約というアプローチは、現場でできる対策のひとつです。運送会社と荷主企業をつなぐ「ハコプロ」も、そうした選択肢のひとつとして参考になります。
ハコプロが提供する運送会社検索の仕組み
ハコプロは株式会社LIGOが運営する運送会社検索サービスで、掲載運送会社数は約6万件、営業所数は約8.5万件にのぼります。荷主企業はエリアや車両形状、輸送品目などの条件で運送会社を検索・比較でき、気になる会社があれば直接問い合わせることが可能です。運送会社側の掲載料・登録料・使用料はすべて無料で、情報更新の回数制限もありません。
「ドライバー名鑑」で運ぶ人の顔が見える
ハコプロには、ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを掲載できる「ドライバー名鑑」という機能があります。多重下請けが常態化しがちな業界において誰が荷物を運ぶのかを可視化できる点は、荷主企業にとって安心材料のひとつになります。あわせて、独自基準で運送会社を評価する「ホワイト物流認定マーク」も用意されており、労働環境の改善に取り組む運送会社を見つけやすくする工夫がされています。
ラストワンマイルの負担を軽くする方法は一つではありませんが、荷主との直接契約という選択肢を検討するのであれば、ハコプロの活用を候補に入れてみてはいかがでしょうか。運送会社としての掲載を検討する場合も、荷主企業として配送パートナーを探す場合も、公式サイトから条件を確認してみることをおすすめします。


