MENU

物流の人手不足はなぜ止まらない|原因と荷主・運送会社にできる対策

  • URLをコピーしました!

「トラックドライバーが足りない」「求人を出しても応募が来ない」。物流や運送の現場で、こうした声を耳にする機会が増えています。国土交通省の試算では、何も対策を講じなければ2030年度に輸送力の34%が不足するともいわれており、これは一部の企業だけの問題ではなく、業界全体を巻き込む構造的な課題に近づいています。

この記事では、物流業界で人手不足がここまで深刻化した背景を数字とともに整理したうえで、荷主企業と運送会社それぞれが今から取れる現実的な対策を紹介します。

目次

物流業界で人手不足が深刻化している実態

まず押さえておきたいのは、物流の人手不足が感覚的な話ではなく、統計データにも明確に表れている現象だという点です。ドライバーの求人倍率や年齢構成を見ると、他業種と比べても需給のひっ迫ぶりが際立っています。

ドライバーの有効求人倍率が示す需給ギャップ

厚生労働省が公表する職業安定業務統計によれば、自動車運転従事者の有効求人倍率は2倍台後半で推移しており、全産業平均の1倍台前半を大きく上回る水準が続いています。求人を1件出しても応募が集まりにくい状態が、業種全体で慢性化していることがうかがえます。

この数字が示しているのは、単に人気がない仕事という話ではありません。求人を出す企業の数に対して、働き手となる候補者の絶対数が不足しているという、構造的な需給の崩れです。

進む高齢化と若手の減少

年齢構成のデータも深刻です。道路貨物運送業では15歳から29歳までの若手就業者の割合が9%にとどまり、全産業平均の17%を大きく下回っています。一方で45歳から59歳の割合は44%に達しており、全産業平均より10ポイント以上高い水準です。

大型トラックの運転手に限れば平均年齢が50歳を超えているといわれ、今後10年ほどでベテラン層が大量に引退していく可能性があります。若手の採用が追いつかなければ、現場を支える人数そのものが減っていく計算になります。

なぜ物流の人手不足がここまで進んだのか

人手不足の原因は一つではありません。労働時間規制という制度面の変化と、業界に長く根づいてきた商習慣の両方が重なり合っています。ここでは主な要因を三つの角度から見ていきます。

労働時間規制による2024年問題

2024年4月、トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間に規制されました。長時間労働を前提に成り立っていた輸送体制にとっては、稼働できる時間そのものが縮小することを意味します。

国土交通省の試算では、対策を講じない場合、2024年度に約14%(4億トン相当)、2030年度には約34%(9億トン相当)の輸送力不足に陥る可能性があるとされています(出典:国土交通省「物流の2024年問題について」)。これは一時的な混乱ではなく、年を追うごとに不足幅が広がっていく構造的な課題として位置づけられています。

多重下請け構造と運賃の低さ

物流業界では、荷主企業から運送を受注した元請けが、実際の輸送を二次請け・三次請けへと再委託していく構造が根強く残っています。5次請け、6次請けまで連なるケースも珍しくありません。

下請けの層が増えるほど各段階で中間マージンが差し引かれ、実際に荷物を運ぶドライバーの手元に残る運賃は薄くなっていきます。荷主が支払う運賃と、ドライバーの実質的な収入との間に大きな開きが生まれる仕組みそのものが、賃金が上がりにくい一因になっていると考えられます。

労働環境や賃金水準への評価

長時間の運転や荷役作業、不規則な勤務時間といった労働環境の厳しさも、若手が物流業界を敬遠する理由としてよく挙げられます。同じ程度の負荷であれば、より条件のよい他業種を選ぶ求職者が増えているのかもしれません。

結果として、求人を出しても人が集まらず、既存のドライバーの負担がさらに増すという悪循環が生まれやすくなっています。

人手不足を放置した場合に何が起こるか

人手不足は、そのうち慣れるという性質の問題ではありません。放置した場合に想定される影響を、荷主企業側の視点から整理しておきます。

配送遅延とコスト上昇という現実

輸送能力が縮小すれば、指定した納期に荷物が届かない、あるいは希望する便数を確保できないといった事態が起こりやすくなります。繁忙期にはとくにその傾向が強まるでしょう。

運送会社側も限られた人員で輸送を担う以上、運賃の適正化を求める動きが強まっています。これまでと同じ運賃水準で発注し続けられる保証は、今後薄れていくと見た方が現実的です。

荷主企業の事業継続リスク

特定の運送会社1社に依存している荷主企業ほど、その会社が人手不足でドライバーを確保できなくなった際の影響を直接受けます。委託先が輸送を継続できなければ、生産や販売のスケジュールそのものが崩れかねません。

だからこそ、委託先の運送会社が抱える人手不足の実態や、労働環境の改善に向けた取り組み状況を、荷主企業側もある程度把握しておく必要があります。

物流の人手不足に対して現場で進む対策

では、業界内では実際にどのような対策が進められているのでしょうか。ここでは荷主企業と運送会社の双方が取り組める方向性を紹介します。

荷主と運送会社の直接契約による中間マージン削減

多重下請け構造そのものを見直す動きとして、荷主企業と運送会社が仲介業者を挟まず直接契約を結ぶ取り組みが広がりつつあります。中間マージンが減れば、その分を運賃や賃金の改善に回す余地が生まれます。

今までは運送会社が見えませんでしたが、直接契約することで余分な中間マージンがかかっていたことにも気付きました

ある荷主企業はこう振り返っています。取引の階層を減らすことは、コスト構造を可視化する意味でも有効な手段といえるでしょう。

ホワイト物流への取り組みと労働環境改善

荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化、適正な運賃収受など、いわゆるホワイト物流の考え方に沿った改善を進める運送会社も増えています。労働環境が整っていることを外部に示せれば、採用面でも一定の効果が期待できます。

  • 荷待ち・荷役時間の削減
  • 運賃・料金の適正収受
  • 労働時間管理の徹底

こうした取り組みを掲げるだけでなく、実際にどこまで実行できているかを外部に伝える手段を持つことも、人材確保の面では欠かせません。

政策パッケージによる業界横断の取り組み

国土交通省は、荷主企業・物流事業者・消費者が一体となって物流を支える環境整備に向けて、政策パッケージを策定しています。個々の企業努力だけでなく、荷主側の発注習慣や商慣行そのものを見直す議論も進んでいます。

運送会社を選ぶ際も、価格だけでなく、ドライバーの定着率や労働環境への取り組み状況を確認する視点が重要になってきています。安さだけを基準に発注先を選び続けると、いずれ委託先そのものが立ち行かなくなるリスクを抱え込むことになりかねません。

荷主と運送会社をつなぐ「ハコプロ」という選択肢

ポイント

中間マージンの削減や労働環境の可視化を、個々の企業努力だけで進めるのは簡単ではありません。ここで役立つのが、荷主企業と運送会社を直接つなぐマッチングサービスです。

ドライバー名鑑による見える化

ハコプロは、運送会社と荷主企業の直接契約を後押しする運送会社検索サイトです。掲載運送会社数は約6万件、営業所数は約8.5万件にのぼり、運送会社は登録料や利用料をかけずに情報を掲載できます。

最大の特徴は「ドライバー名鑑」という機能です。ドライバーの年齢や社歴、仕事への想いを掲載することで、誰が荷物を運ぶのかを荷主企業に可視化します。5次請け、6次請けが当たり前になりがちな業界において、担い手の顔が見えることは、荷主企業にとって安心材料になります。

実際に直接契約が生まれた事例

ハコプロを通して、荷主から直で連絡をもらえたことが一番有難いんです。荷主との直接契約で一次請けになれば、交渉もできる

北海道の運送会社「みどり運輸」の高村社長はこう振り返っています。実際に、苫小牧港から農協への肥料輸送では、ハコプロを通じて荷主企業とみどり運輸のマッチングが成立した実績もあります。

人手不足の解消は一朝一夕に進むものではありませんが、下請けの階層を減らし、運賃と労働環境を適正化する仕組みを取り入れることは、今日からでも検討できる選択肢です。物流の人手不足という課題に向き合う荷主企業・運送会社は、ハコプロが運営する「ハコブログ」で発信している事例や情報もあわせて参考にしてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次