「運送業は将来なくなるのではないか」という声を耳にする機会が増えています。ドライバー不足のニュースや2024年問題という言葉がメディアで頻繁に取り上げられ、物流を支える仕事そのものが先細りしていくように感じる方も少なくないでしょう。結論を先に述べておくと、運送業という産業自体が消える可能性は極めて低いと考えられます。むしろ変わりつつあるのは、これまで業界を支えてきた構造や働き方のほうです。その不安の背景にあるデータと、実際に起きている変化を、ここから順に確認していきましょう。
なぜ「運送業はなくなる」と言われるのか
「運送業はなくなる」という言葉の裏には、単なる噂ではなく具体的な統計の裏付けがあります。まず押さえておきたいのが、ドライバーの人手不足と2024年問題と呼ばれる制度変更です。
有効求人倍率2.46倍が示す深刻な人手不足
厚生労働省が公表している統計によると、2025年5月時点で自動車運転従事者の有効求人倍率は2.46倍にのぼります。全産業平均の1.24倍と比べると、およそ2倍の水準です。求人を出しても応募が集まりにくい状態が、長年にわたって続いています。
背景にあるのが年齢構成の偏りです。国土交通省の資料によれば、トラック運転者の約76%が40歳以上を占め、大型トラックドライバーの平均年齢は49.9歳に達しています。若手の担い手が増えないまま、現場を支えるベテラン層が退職期を迎えつつあるというのが実情です。
2024年問題という時間外労働の上限規制
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働には年960時間という上限が適用されています。長時間労働を前提に成り立ってきた輸送体制にとって、この規制は働き方を根本から見直す契機になりました。
内閣府が公表した物流革新に向けた政策パッケージでは、十分な対策を講じなかった場合、2024年時点で14.2%、2030年には34.1%相当の輸送能力が不足すると試算されています。人数に換算すると、約34万人分のドライバーが足りなくなる計算です。(内閣府 物流革新に向けた政策パッケージより)
これほど大きな数字を目にすると、業界そのものの存続が危ぶまれているように感じてしまうのも無理はありません。
結論からいえば運送業がなくなる可能性は低い

ここまでの数字だけを見ると悲観的な未来を想像してしまいますが、視点を変えると違う姿が見えてきます。
物流は経済活動を止められないインフラである
食料品や日用品、医薬品、建材まで、あらゆるモノは誰かが運ばなければ店頭にも工場にも届きません。運送業は経済活動の血流にあたる存在であり、需要そのものがなくなることは考えにくい業種です。
むしろ人手不足が深刻になるほど、実際に荷物を運べる会社やドライバーの希少価値は高まっていきます。仕事がなくなるどころか、担い手を確保できた会社にとっては荷主から選ばれやすくなる局面ともいえるでしょう。
EC市場の拡大がむしろ荷物量を押し上げている
経済産業省の統計によると、国内のBtoC-EC市場規模は2023年時点で14兆6760億円に達し、2014年のおよそ2.2倍まで拡大しています。宅配便の取扱個数も2024年度は50億3100万個と前年度比0.5%増加し、右肩上がりの傾向が続いています。
運ぶべき荷物の総量は減るどころか増え続けているというのが実態です。運送業がなくなるという不安の裏側で、実際には荷物を運びきれない状態のほうが深刻な課題になりつつあります。
自動運転やAIがドライバーを代替するのはいつか
では、自動運転技術が運送業を不要にする日は来るのでしょうか。技術の進歩を追っていくと、答えは単純な白黒ではなさそうです。
新東名高速道路で進むレベル4トラックの実証実験
豊田通商といすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックスの各社は、新東名高速道路においてレベル4自動運転トラックの総合走行実証を進めています。2026年以降の社会実装を見据えた取り組みで、業界では自動運転トラックの普及期は2030年ごろに訪れると見込まれています。
高速道路の巡航区間のように環境が整った道路であれば、自動運転が担える領域は着実に広がっていくと考えられます。
ラストワンマイルや積み込み作業は当面人手が頼り
一方で、市街地の細かな配送先を回るラストワンマイルや、荷物の積み下ろし、荷主との細かなやり取りといった領域は、当面のあいだ人の手に頼らざるを得ないというのが現実的な見方です。
自動運転は幹線輸送の負担を軽くする助けにはなっても、ドライバーという仕事そのものを消し去るものではなく、むしろ長時間の単調な運転から人を解放し、より付加価値の高い業務に時間を振り向けるための技術に近いのかもしれません。
本当に変わるのは「なくなる」ではなく業界の構造
運送業そのものは残りながらも、これまでとは違う形に変わっていく可能性は高いといえます。特に大きな変化が予想されるのが、取引の構造です。
多重下請け構造がドライバーの手取りを圧迫してきた
運送業界では、荷主から仕事を請けた元請け会社がさらに下請け、孫請けへと業務を流す多重下請け構造が長く常態化してきました。2次請け、3次請けはもとより、5次請け、6次請けまで珍しくないといわれています。
この構造では、実際にトラックを走らせている会社ほど、間に入る各社の中間マージンが差し引かれた後の運賃しか受け取れません。ドライバーの賃金が上がりにくい一因は、ここにあると指摘されています。
荷主との直接契約という選択肢が広がりつつある
こうした課題を受けて、荷主企業が運送会社を直接検索し、間に業者を挟まず契約する動きが少しずつ広がってきています。実際に、北海道のある荷主企業が苫小牧港から農協への肥料輸送を依頼する運送会社を探した際、釧路市の運送会社と直接マッチングし、契約に至った事例も報告されています。
下請けの一本足打法から抜け出し、荷主と直接つながるチャネルを持てるかどうかが、これからの運送会社の収益力を左右していきそうです。
運送会社・ドライバーが今からできる備え

業界そのものがなくなるわけではないとしても、変化の波に乗れるかどうかは会社ごとの取り組み次第です。今のうちから備えておきたいポイントを整理します。
労働環境を見える化しホワイト物流を打ち出す
残業時間の実態や休日の取得状況、給与体系といった労働環境を積極的に見える化する会社は、若手ドライバーからも荷主からも信頼を得やすくなっています。
取り組みの度合いに応じて評価されるホワイト物流認定のような仕組みを活用し、外部からわかる形にしておくことも、採用面で有利に働くはずです。
荷主と直接つながる窓口を複数持っておく
運送会社検索サイト「ハコプロ」は、こうした構造変化に対応する手段のひとつです。株式会社LIGOが運営し、掲載運送会社数は約6万件、営業所数は約8.5万件という規模のデータベースを持ちながら、運送会社側の登録料・掲載料・使用料はすべて0円で利用できます。
ドライバー一人ひとりの年齢や社歴、運送にかける思いを掲載する「ドライバー名鑑」や、取り組みに応じて認定される「ホワイト物流認定マーク」といった機能を通じて、荷主に自社の姿を直接アピールできる点も特徴です。今から準備しておきたいことを整理すると、次の3点に集約されます。
- 労働時間や給与体系など、自社の労働環境を数字で示せるようにしておく
- 下請け経由だけに頼らず、荷主と直接つながれる窓口を持っておく
- ホワイト物流への取り組みを対外的に発信し、信頼を可視化しておく
運送業の将来が気になったらハコプロに相談してみませんか
運送業という産業がなくなる心配をするよりも、多重下請け構造から抜け出し、荷主と直接つながる準備を進めるほうが、これからの時代には現実的な備えといえそうです。
ハコプロは運送会社にとって完全無料で利用でき、荷主企業からの問い合わせも直接受けられる検索サイトです。自社の強みを見える化し、新しい荷主との出会いを増やしたいと考えている場合は、一度ハコプロへ相談してみてはいかがでしょうか。


