MENU

2024年問題に直面する荷主の役割と責任とは?今後期待されることや荷主が参照すべきガイドラインを詳しく解説!

  • URLをコピーしました!

運送業界では2024年問題を機に、トラック事業者のみならず、貨物の輸送を依頼する荷主の役割と責任が強く問われ始めています。

政府がトップダウンで法整備を進め、罰則規定も設けられているため、今後、荷主は今まで以上にその意図を十分に汲んだ対応が不可欠となります。従来のように自己都合を優先して厳しい業務を無理強いしていたのでは、社会的信用を失墜したり、逆にトラック事業者から輸送業務を拒否されたりする可能性も出てくるので抜本的な意識改革が必要でしょう。

そこで今回は、荷主の定義や今後の役割と責任、さらに荷主が参照とすべきガイドラインや手引きについて詳しく解説します。

目次

荷主とは

まず「荷主」とはどのような立場を意味するのか、具体的に解説しましょう。

荷主と準荷主

省エネ法により、荷主は大きく「荷主」と「準荷主」に分けて定義されています。

「荷主」は、貨物輸送事業者と直接契約して、貨物を輸送させている事業者を意味します。貨物の所有権の有無は関係ありません。また、貨物事業者との直接的な契約がなくとも、「輸送方法」「受取日時」「受取場所」を実質的に決めることができる者も荷主に含まれます。

一方、「準荷主」とは、貨物輸送事業者との直接的な契約はなくとも、貨物輸送事業者が輸送する貨物を受け取ったり、引き渡したりする「日時」や「場所」を指示することができる者のことを指します。

荷主と特定荷主

荷主には、「特定荷主」に分類される事業者が存在します。

特定荷主とは、年間の貨物輸送量が3,000万トンキロ以上になった事業者を指し、主務大臣(経済産業大臣および事業所管轄大臣)に、年1回、中長期計画書を作成して提出し、定期報告を行う義務があります。

ちなみに定期報告の内容は、以下の通りです。

  • 輸送に係るエネルギー使用量
  • エネルギー使用原単位
  • 省エネ措置の実施状況
  • エネルギーの使用に伴う二酸化炭素の排出量

中長期計画書の作成と定期報告を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、50万円以下の罰金、省エネへの取り組みが著しく不十分と判断された場合は、勧告・公表・命令・100万円以下の罰金が科される場合があるので注意が必要です。

発荷主と着荷主

荷主は、「発荷主(はつにぬし)」と「着荷主(ちゃくにぬし)」に分けることができます。

発荷主とは、荷物を発送する側を指し、着荷主は荷物の到着側、つまり受け取り手を意味します。多くの場合、省エネ法の「荷主」は「発荷主」に、「準荷主」は「着荷主」に該当します。

元請事業者も荷主

運送業界では、元請事業者が仕事を下請けや孫請けに回しているケースが少なくありません。この場合、元請事業者も荷主と呼ばれます。

これからの荷主の定義

物流においては、発荷主と着荷主が契約をし、さらに貨物の輸送については発荷主が輸送事業者と契約を結ぶことが多いです。

しかし実際は、着荷主が納品回数や納品リードタイム、発注ロットといった物流条件の大部分を規定していることが少なくありません。

それにより、待ち時間や付帯作業など多くの問題が生じていることから、「着荷主」こそが「準荷主」ではなく、実質的には「荷主」とみなす必要があるとの考えが主流になりつつあります。

また、貨物輸送料が年間3,000万トンキロ以上の「特定荷主」は現在800社ほど存在しますが、この対象もさらに拡大するべきとの方向で議論されています。

荷主の役割や責任

2024年問題に直面する輸送業界において、物流プロセスの総元締め的立場にある荷主に求められる役割と責任は決して軽くありません。

そこで続いては、これから荷主に求められることに加え、役割や責任が果たせない場合にとられる措置や今後期待されることについて具体的に解説しましょう。

荷主に求められること

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に規制されるにあたって、貨物輸送事業者は、売上やドライバーの給与の減少、ドライバーの大量離職などが危惧されています。

そうなると結局、荷主側も輸送手段が不足することにより少なからず打撃を受けることが予想されます。

そこで、荷主は、ドライバーの労働環境改善に向けて、待ち時間や付帯作業の削減、標準運賃収受への理解を深めることなどに真剣に取り組むことが求められます。

それは即ち、輸送事業者と連携しながらホワイト物流の推進に寄与することに他なりません。

その内容を荷主の立場別に具体的に列記しましょう。

発荷主入出荷情報等の事前提供出荷に合わせた生産・荷造り
着荷主予約受付システムの導入検品水準の適正化
両荷主施設面の改善リードタイムの延長パレット等の活用

荷主が役割や責任を果たせない場合の措置

長年の慣習により、輸送事業者は、仕事の発注元である荷主の言い分に従わざるを得ない面が多く、ただホワイト物流の意義を明文化したところで実質的な効果は期待できません。

そこで、政府は、荷主が上述のような役割と責任を果たせない場合の措置や果たせるように促す対策を施しています。

具体的には、以下の3点が挙げられます。

  1. 荷主勧告制度
  2. 荷主特別対策チーム
  3. トラックGメン

各項目について解説しましょう。

1.荷主勧告制度

貨物自動車運送事業法に基づき、運送業界における違反行為を取り締まる目的で国土交通省が「荷主勧告制度」を設けています。

違反行為が明らかになった場合は、その程度によって「協力要請書」や「警告書」が送られます。警告に従わず3年以内の間に同一違反を行うと「荷主勧告」の対象となり、名前と違反内容が公表される決まりになっています。

そうなると、社会的信頼を失墜することになりかねないため、荷主としては細心の注意が必要でしょう。

違反行為は、以下の「ア」と「イ」が該当します。

ア 荷主が、実運送事業者に対する優越的地位や継続的な取引関係を利用して次の行為を行なった事例

  1. 非合理的な到着時間の設定
  2. やむを得ない遅延に対するペナルティの設定
  3. 積み込み前に貨物量を増やすような急な依頼
  4. 荷主管理にかかる荷捌き場で手待ち時間を恒常的に発生させ、実運送事業者の要請に対して通常行われる改善措置を行わないこと

イ 実運送事業者の違反に関し荷主の指示等が認められた事例

2.荷主特別対策チーム

厚生労働省が、「改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)」の改正に合わせて、2022年12月「荷主特別対策チーム」を編成しました。

概要は以下の通りです。

  • トラック運転者の労働条件の確保・改善に知見を有するメンバーで編成
  • 労働基準監督署が発着荷主等に対して、長時間の恒常的な荷待ちの改善に努めること
  • 運送業務の発注担当者に改善基準告示を周知し、トラック運転手がこれを遵守できるよう協力することなどを要請する
  • 都道府県労働局が長時間の荷待ちなどの改善等に向け発着荷主等に働きかける
  • 長時間の荷待ちに関する情報を収集する

3.トラックGメン

国土交通省が、2023年7月に、全国162名からなる「トラックGメン」を設置しました。

その目的は、荷主(発荷主および着荷主)と元請事業者において、適正な物流取引を阻害している疑いがないかを監視することにあります。トラックGメンは、独自の調査結果をもとに貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業・元請事業者への「働きかけ」 「要請」等を行って、実効性を確保します。 

発足後、約2ヶ月で「働きかけ」120件、「要請」が5件行われました。

また、同年12月には、荷主ではなく全トラック事業者を対象に、荷主による違反行為の実態を把握するための調査を行い、「集中監視月間」として「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を集中的に実施しています。

今後はさらに、このトラックGメンに、都道府県労働局、地方経済産業局、地方農政局といった関係行政機関が加わって、荷主企業の合同ヒアリングにあたる方針です。

荷主への今後の期待

今後、荷主はまず、2024年問題を目前に控え、物流課題の解決を目指すにあたり自らが重要な立ち位置にあることを強く認識する必要があります。

そのうえで上述の、待ち時間や付帯作業の削減、標準運賃収受への理解を深めるといった物流改善策を積極的に実施していくことが大切でしょう。

すでに、荷主の物流改善への取り組み状況がランク評価されるなどのインセンティブが付与される制度創設についても議論されています。

したがって、物流改善に真摯に取り組めば、社会的評価が確実に高まるものと思われます。

加えて、荷主企業に対して役員クラスで物流全体を統括する役割として「物流統括管理者」の設置を義務付ける法改正案がすでに閣議決定(2024年2月12日)されており、物流人材の育成や登用が非常に重要となります。

物流業界において、これからは輸送事業者が荷主を選別するという新たな潮流が生まれることが予想されるため、いち早く改善に取り組み、物流会社に選ばれる荷主になることが期待されているといえるでしょう。

   

荷主が参照すべき手引きやガイドライン

荷主が、健全な物流プロセスの実現に向けて、適切な役割と責任を果たすために関連省庁によって、さまざまなガイドラインや手引きが示されています。

これらを一通り理解しておくと、的を射た改善や環境整備が実施でき、荷主としての信頼を確保しやすくなるでしょう。

トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン
当ガイドラインは、国土交通省によって2008年3月14日に公表され、5回目の改訂が2022年12月26日に行われています。具体的には、

  • 運賃の設定
  • 運用内容の変更
  • 付帯作業の提供
  • 荷待ち時間の改善
  • 書面の交付・作成・保存
  • 運賃の支払い遅延
  • 報復措置の禁止
    といった項目について、具体的な問題点を事例として列挙し、望ましい取引やトラック事業者としての姿勢などについて法律的な裏付けとともにカイドラインを示しています。

    荷主の立場からすると、耳の痛い内容がふんだんに盛り込まれています。しかし、今後はこれらを無視して健全な企業経営はありえないと知って、真摯に理解のうえ、改善に努める必要があるでしょう。

荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン
当ガイドラインは、2018年11月16日に国土交通省と厚生労働省、公益社団法人 全日本トラック協会が連盟で発表しています。

2年間に渡り荷主企業及びトラック運送事業者等が協力・連携しながらドライバーの長時間労働の改善等を図る「パイロット事業」を実施した成果としてリリースしました。その目的は、取引環境やドライバーの長時間労働の改善を促すことにあります

具体的には、

  1. ガイドライン
  2. 事例集
    の2部から構成されています。

ガイドライン

ガイドラインでは、以下の内容が示されています。

  • 取引環境と長時間労働の改善に向けた取り組みの進め方
  • 上記内容の改善に向けたステップ
  • 「予約受付システムの導入」や「パレット等の活用」をはじめとする13の対応例
  • 労働環境改善のためのチェックリスト
  • 改善基準告示(トラック運転者関係)の概要

事例集

事例集では、取扱貨物や品目ごとにどこ(都道府県のみ)の事業者がどのような取組を実際に行ったかが、具体的に記されています。

物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン
当ガイドラインは、2023年6月2日、経済産業省、農林水産省、国土交通省が連盟で発表しました。

目的は、「物流の2024年問題」への対応を加速することにあります。具体的には、以下の5項目に分けてガイドラインが示されています。

  • 発荷主事業者・着荷主事業者に共通する取組事項
  • 発荷主事業者としての取組事項
  • 着荷主事業者としての取組事項
  • 物流事業者の取組事項
  • 業界特性に応じた独自の取組

【荷主のための物流改善パンフレット】運送事業者の事業環境改善に向けて
当パンフレットは、運送業の労働時間改善と働き方改革推進を目的として厚生労働省がリリースしました。トラック事業者と荷主の立場に立ち、それぞれに必要な留意・改善事項について平易な文章とグラフ等を用いた分かり易いレイアウトで記載されています。

具体的には、以下の3章から成ります。

  1. トラック運転者の労働時間削減に向けた取り組み
  2. 運送事業者との適正な取引条件の確立に向けた取り組み
  3. 荷主としての社会的責任に関わる取り組み

荷主と運送事業者のためのトラック運転者の労働時間削減に向けた改善ハンドブック
当ハンドブックは、トラック運転者の労働時間改善と働き方改革推進を目的として厚生労働省がリリースしました。具体的には、以下の5章で構成されています。

  1. トラック運転者の労働時間削減に取り組むにあたって
  2. トラック運転者の労働時間削減を始めてみよう
  3. 問題を洗い出してみよう
  4. 施策候補をみてみよう
  5. 改善事例集

荷主の省エネ推進の手引き

資源エネルギー庁が、2018年12月1日施工の「省エネ法改正」により荷主が省エネ推進のために留意すべき内容について記載されています。

とくに先述の「特定荷主」についての定義や義務、エネルギー使用量の算定方法などについて詳しく記載されているので、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。

まとめ

一言に荷主といっても、さまざまな立場があります。そして、各立場によって求められる役割や責任が異なるので、しっかりと理解した上で業務を遂行する必要があるでしょう。

物流業界の人材不足やドライバーの厳しい労働環境といった2024年問題解決の大きな影響力をもつ存在として、荷主は非常に注目されています。その責任を軽視しているとペナルティが科され、社会的信用を失う恐れもあるので、十分に注意が必要でしょう。

そのような事態を回避するためにも、当記事でご紹介したガイドラインや事例集等を参考にして、具体的な改善策を実施していくことが求められています。

LIGOは、荷主向けに競争力を高めるためのより良い情報を発信してまいります。

ハコプロでホワイトな運送会社様を積極的に掲載のうえPRして応援していくことで、ホワイトな荷主様がホワイトな運送会社様を探しやすい世界を目指していきたいと考えています。

運送会社探しに際しては、是非とも当社のサービスを積極的にご活用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次